コラム

小児薬物療法認定薬剤師とは?認定要件や申請・更新、活かし方をわかりやすく解説

小児科の処方に関わる機会が増えると、用量設計や剤形選択、保護者への説明に難しさを感じる場面が出てきます。

小児領域の専門性を深めたい薬剤師が目指す資格の一つが、小児薬物療法認定薬剤師です。一般に「小児認定薬剤師」と呼ばれることもありますが、制度名や要件は正式名称で確認する必要があります。

この記事では、認定要件、研修会、申請、更新、実務での活かし方を整理します。認定までの道のりと、自分の働き方で目指せるかを判断する材料にしてください。

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小児薬物療法認定薬剤師とは

小児薬物療法認定薬剤師とは、小児薬物療法に関する専門性を小児医療の現場で活かす薬剤師を認定する制度です。日本小児臨床薬理学会と日本薬剤師研修センターが平成24年度から創設した制度です。※1

制度の目的

制度の目的は、小児科領域で医薬品に関わる専門的立場から医療チームに参画し、患児や保護者等へ適切な助言や教育を行える薬剤師を養成することです。※1

小児は年齢、体重、発達段階によって薬物療法の考え方が大きく変わります。成人と同じ感覚で用量や剤形を考えにくい点が、この資格の背景にあります。

研修認定薬剤師との違い

小児薬物療法認定薬剤師は、小児薬物療法に関する領域別の認定です。一方、研修認定薬剤師は生涯学習の成果を認定する制度で、制度の目的と単位の扱いが異なります。

ためとこで管理できるのは、研修認定薬剤師制度に関わる単位です。※2制度の枠組みが異なるため、小児薬物療法認定薬剤師の準備とは分けて学習計画を立てる必要があります。

認定薬剤師と専門薬剤師の違いも含めて整理したい方は、認定薬剤師と専門薬剤師の違いを解説した記事もぜひご覧ください。

※1 出典:日本薬剤師研修センター「小児薬物療法認定薬剤師制度とは」(2026年7月13日閲覧)
※2 出典:ためとこ「ためとこ受講の流れ」(2026年7月13日閲覧)

小児薬物療法認定薬剤師の役割

小児薬物療法認定薬剤師の役割は、処方設計や服薬支援で生じる小児特有の判断を、医療チームと患児・保護者の支援に結びつけることです。制度上も、医療チームへの参画と、患児や保護者への指導や助言が役割として示されています。※1

小児薬物治療への参画

小児科領域では、体重あたりの投与量、剤形、服薬できる味や形、発達段階、副作用の出方などを総合的に見ます。薬剤師は医薬品の専門家として、医師や看護師と連携しながら治療を支えます。

たとえば散剤や水剤の選択、抗菌薬の投与量確認、TDMが必要な薬剤の管理、相互作用や重複投与の確認などは、薬剤師の専門性が活きる場面です。

患児と保護者への支援

小児の服薬支援では、薬を飲む本人だけでなく、保護者への説明も欠かせません。飲ませ方、保管方法、飲み忘れ時の対応、副作用に気づく視点まで、家庭で再現できる言葉に置き換えて伝える必要があります。

小児薬物療法認定薬剤師には、患児と保護者、学童に対して医薬品に関する指導や助言、教育を行う役割も期待されています。※1薬局で小児服薬指導に関わる方は、小児の服薬指導を解説した記事もぜひご覧ください。

※1 出典:日本薬剤師研修センター「小児薬物療法認定薬剤師制度とは」(2026年7月13日閲覧)

小児薬物療法認定の要件

小児薬物療法認定薬剤師として認定されるには、研修会の受講だけでなく、試験合格と新規認定レポートの合格まで進む必要があります。受講前の段階で、研修、試験、学術集会、レポートの順番を押さえておくと申請漏れを防ぎやすくなります。

研修会の受講資格

小児薬物療法研修会の受講資格は、保険薬局または病院、診療所での実務経験が申込み時点で3年以上あり、現に保険薬局または病院、診療所に勤務している薬剤師です。※1

勤務形態によって判断に迷う場合は、申込み前に制度に関するQ&Aを確認しましょう。実務経験年数と現在の勤務先要件を分けて見ると、自分が対象になるかを判断しやすくなります。

認定までの二つの要件

日本薬剤師研修センターは、認定要件として次の二つを示しています。※2

  • 小児薬物療法研修会における研修を修了し、試験に合格していること
  • 小児薬物療法認定薬剤師新規認定のためのレポートを提出し、合格していること

研修会の受講と試験合格に加え、学術集会への参加を踏まえたレポートも必要です。※2認定までには複数のステップがあるため、研修会の申込時期だけでなく、試験後のレポート提出まで予定に入れておきましょう。

※1 出典:日本薬剤師研修センター「小児薬物療法研修会」(2026年7月13日閲覧)
※2 出典:日本薬剤師研修センター「小児薬物療法認定薬剤師になるには」(2026年7月13日閲覧)

小児薬物療法認定の研修と試験

研修会と試験は、認定に向けた中心的なステップです。2026年度は、受講形式、費用、申込期間、試験対象者が具体的に案内されています。※1

研修会の形式と費用

2026年度の小児薬物療法研修会は、eラーニング形式の講義36コマで実施されます。配信期間は2026年7月から2027年2月で、2月は全講義の再配信予定とされています。※1

受講料は55,000円税込で、当該年度の試験受験料を含みます。※1金額や配信期間は年度で変わる可能性があるため、申込み前には対象年度の研修会ページで費用、配信期間、試験料の扱いを確認してください。

申込期間と定員の注意

2026年度の申込受付期間は、2026年5月1日から5月31日でした。ただし、定員に達したため5月15日に締め切られ、追加募集は行わないと案内されています。※1

2026年度のように受付期間中でも締め切られる年度があるため、年度初めに研修会ページを確認し、勤務先の予定調整まで早めに進める必要があります。受付は先着順で、定員到達時点で締切になるため、受付開始日だけでなく定員到達時の扱いも確認対象に入れてください。

試験の受験資格と再受験

試験の対象者は、研修会のキーワード正答率が100%で、報告が確実になされた方です。2026年度研修会に対応する試験は、2027年5月頃に東京都内で予定されています。※1

未受験または不合格の場合は、翌年の試験に限り再度受験できる旨が案内されています。※1再受験の機会はありますが、受講確認、キーワード報告、復習を配信期間中に進めておくほうが試験前の負担を抑えられます。

※1 出典:日本薬剤師研修センター「小児薬物療法研修会」(2026年7月13日閲覧)

小児薬物療法認定の申請手順

研修会と試験が終わっても、すぐに認定が確定するわけではありません。学術集会への参加、レポート、PECSでの認定申請まで終えて、はじめて新規認定の審査に進みます。※1※2

学術集会とレポート

新規認定のためのレポートでは、小児薬物療法研修会開始以降、認定試験に合格した年の末日までに日本小児臨床薬理学会学術集会へ1回参加する必要があります。※1

参加したいずれか一つのセッション等に関するレポートを提出し、評価を受け、合格評価を受けることが必要です。※1学会参加の日程、レポート作成時間、提出期限を試験後にまとめて考えると遅れやすいため、研修会の受講時点から予定に入れておくと進めやすくなります。

PECSでの新規申請

小児薬物療法認定薬剤師の新規申請は、薬剤師研修・認定電子システムであるPECSから行います。申請には、試験合格通知メールの送信日から1年以内という期限があります。※1※2

日本薬剤師研修センターでは、2025年9月1日現在、小児薬物療法認定薬剤師認定審査料の新規は22,000円税込とされています。※3研修会受講料とは別に必要な費用なので、学会参加費、交通費、認定審査料を分けて見積もっておくと、申請時の負担を把握しやすくなります。

※1 出典:日本薬剤師研修センター「はじめて認定をとろうとするあなたへ(小児薬物療法認定薬剤師の認定)」(2026年7月13日閲覧)
※2 出典:日本薬剤師研修センター「小児薬物療法認定薬剤師の新規申請」(2026年7月13日閲覧)
※3 出典:日本薬剤師研修センター「各種申請の手数料等について」(2026年7月13日閲覧)

小児薬物療法認定の更新単位

小児薬物療法認定薬剤師は、認定後も3年ごとの更新が必要です。初回更新と2回目以降の更新では、必要な単位数や業務実績報告の扱いが異なります※1

主な更新条件は、初回更新と2回目以降で次のように変わります。※1

区分必要な単位主な追加条件
初回更新各年5単位以上、3年間で30単位以上・日本小児臨床薬理学会学術集会へ参加し、3単位以上取得
・必須業務実績報告による単位を、各年3単位以上取得
2回目以降の更新各年3単位以上、3年間で20単位以上・日本小児臨床薬理学会学術集会へ参加し、3単位以上取得

初回更新の条件

初回更新では、認定日から起算して各年5単位以上、かつ3年間で30単位以上を取得していることが求められます。さらに、日本小児臨床薬理学会学術集会への参加による3単位以上も必要です。※1

初回更新では、必須業務実績報告による単位を認定各年3単位以上取得する条件もあります。※1日常業務の中で関わった薬学的ケアは、後から思い出してまとめるより、症例や支援内容を記録に残しておくほうが報告準備を進めやすくなります。

二回目以降の条件

2回目以降の更新では、認定日から起算して各年3単位以上、かつ3年間で20単位以上が必要です。初回更新より単位数は少なくなりますが、学術集会への参加要件は引き続きあります。※1

更新単位は種類ごとに単位取得日や反映日が異なります。※1PECSに反映されるタイミングも含めて確認し、更新期限の直前ではなく認定期間の途中から単位数を点検しておく必要があります。

異動や休業時の扱い

育児や病気療養など、やむを得ない事情がある場合は、更新手続きや単位取得の扱いが変わる可能性があります。個別事情を一般化せず、更新期限、必要書類、申請時期を早めに確認しておくと判断しやすくなります。

また、小児医療に関わらない施設へ異動した場合は、初回認定期間中に代替レポート措置が関係する場合があります。※1職場が変わる可能性がある方は、認定後の維持まで見通しておくと更新時の判断材料になります。

※1 出典:日本薬剤師研修センター「小児薬物療法認定薬剤師の更新認定手続き」(2026年7月13日閲覧)

小児薬物療法認定薬剤師の活用場面

小児薬物療法認定薬剤師は、資格名だけで評価されるものではありません。小児処方に継続して関わる環境で、学んだ内容を処方確認、服薬支援、チーム連携にどう使うかが問われます。

病院で活かせる場面

病院では、小児病棟や外来、チーム医療の場面で専門性を発揮しやすい場面があります。体重換算の用量確認、TDM、注射薬や内服薬の安全管理、退院後の服薬継続支援などで関わり方を具体化できます。

医師や看護師と薬剤師が同じ情報を共有できると、患児の治療全体を見通しやすくなります。資格は、そうした連携の中で専門性を説明する一つの材料になります。

薬局で活かせる場面

薬局では、小児科門前での散剤や水剤の調剤、保護者への服薬説明、服薬拒否への相談対応などに活かせます。学校や保育園での服用方法を含め、生活に近い助言が求められます。

ただし、資格があるだけで年収や職位が必ず変わるとはいえません。小児処方に継続して関わる職場で、学んだ内容を実務改善に使えるかを基準に、現在の配属や今後希望する業務と照らし合わせると判断しやすくなります。

小児薬物療法認定を目指す前に確認しておきたいこと

認定を目指す前には、受講資格だけでなく、勤務形態、費用、学会参加、勉強時間、更新まで確認しておくと安心です。取得後に維持できるかまで含めて考えましょう。

勤務形態と実務経験

受講資格では、保険薬局または病院、診療所での実務経験が3年以上あり、現に勤務していることが示されています。※1常勤か非常勤か、勤務時間をどう扱うかで迷う場合は、まず研修会ページの受講資格欄を基準に確認してください。

小児医療に関わる機会が少ない職場では、認定後の業務実績報告や更新の見通しも考える必要があります。現在の職場で小児処方にどの程度関われるか、異動や転職で関わる機会を増やせるかを分けて整理しておくと判断しやすくなります。

学会参加と費用の見通し

費用は研修会受講料だけではありません。新規認定では、研修会受講料、認定申請審査料、学術集会への参加費、試験地までの交通費などを分けて見積もる必要があります。

2026年度研修会の受講料は55,000円税込で、日本薬剤師研修センターでは2025年9月1日現在、小児薬物療法認定薬剤師認定審査料の新規は22,000円税込とされています。※1※3いずれも改定の可能性があるため、申込み年度の研修会費用と認定審査料を別々に確認してください。

勉強と試験準備の進め方

試験の受験資格として、キーワード正答率100%が示されています。※1合格率の数字だけで難易度を見積もるより、受講確認、キーワード報告、試験、レポート提出までを同じ予定表で管理するほうが準備漏れを防げます。

学会参加とレポートも必要です。※2仕事と勉強を両立するには、配信期間の前半で講義を進め、キーワード報告を後回しにしない進め方が向いています。研修会、試験、学会、レポートの順に予定を置くと、試験後のレポート準備まで見通せます。

小児領域では、薬物療法の知識だけでなく、保護者への説明や服薬支援の引き出しも日々の実務で更新していく必要があります。研修認定薬剤師の単位管理も続けている方は、受講履歴や単位数をあとから確認できる形で残しておくと、学習の積み重ねを振り返りやすくなります。

※1 出典:日本薬剤師研修センター「小児薬物療法研修会」(2026年7月13日閲覧)
※2 出典:日本薬剤師研修センター「はじめて認定をとろうとするあなたへ(小児薬物療法認定薬剤師の認定)」(2026年7月13日閲覧)
※3 出典:日本薬剤師研修センター「各種申請の手数料等について」(2026年7月13日閲覧)

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よくある質問

制度名、試験、単位の扱いは、申込み前後で誤解が起きやすい部分です。正式名称、合格率の公表有無、ためとこの単位の扱いを分けて確認します。

小児認定薬剤師の正式名称は何ですか?

制度名は小児薬物療法認定薬剤師です。※1一般に「小児認定薬剤師」と呼ばれることもありますが、研修会、認定申請、更新条件を調べるときは正式な制度名で確認します。

試験合格率は公表されていますか?

試験の受験資格としてキーワード正答率100%などは示されています。※2一方で、試験の合格率を示す記載は確認できませんでした。合格率の数字だけで判断せず、研修会、キーワード報告、試験、レポート提出までを自分の勤務予定に組み込めるかを確認します。

ためとこの単位は更新に使えますか?

小児薬物療法認定薬剤師の更新条件は、日本薬剤師研修センターの制度に沿って確認します。ためとこで扱うのは研修認定薬剤師制度の単位です。※3枠組みが異なるため、研修認定薬剤師の単位管理とは別で管理すると混同を防ぎやすくなります。

研修認定薬剤師の制度全体を確認したい方は、認定薬剤師の基本を解説した記事もぜひご覧ください。

※1 出典:日本薬剤師研修センター「小児薬物療法認定薬剤師制度とは」(2026年7月13日閲覧)
※2 出典:日本薬剤師研修センター「小児薬物療法研修会」(2026年7月13日閲覧)
※3 出典:ためとこ「ためとこ受講の流れ」(2026年7月13日閲覧)

まとめ

小児薬物療法認定薬剤師を目指す場合は、制度の目的だけでなく、認定までの流れを早めに把握しておくことが大切です。認定には、小児薬物療法研修会の修了、試験合格、新規認定のためのレポート合格が必要です。

更新では3年ごとの単位取得が求められ、初回更新と2回目以降で条件が異なります。研修会の申込時期、費用、学会参加、更新時の業務実績まで同じ予定表に入れておくと、申請直前の確認漏れを減らせます。

小児領域では、認定を目指す過程で学んだ内容を、日々の処方確認や服薬支援にどう活かすかも大切です。研修認定薬剤師の単位管理も続けている方は、受講履歴や単位数をあとから確認できる形にしておくと、学びの積み重ねを振り返りやすくなります。

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