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「認定薬剤師は意味がない」と言われる理由とは。実態調査に基づくメリットと負担

認定薬剤師の取得を検討しても、「日々の業務の合間に単位を集め、その後も更新を続ける」と考えるとすぐには気持ちが向かないものです。取得した同僚から「特に何も変わらない」と聞けば、時間と費用をかける意味があるのか迷います。

認定を取得することは、一概に意味がないとは言えません。ただし価値を感じられるかどうかは、勤務先の体制と担当する業務によって変わります。

この記事では、認定取得者の実態調査、認定が要件として効く場面、更新を続ける方法を紹介します。

自分の働き方に照らして、認定を目指すかどうかを判断できる状態を目指しましょう。

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認定薬剤師の取得は本当に「意味がない」のか

認定を受ける意味があるかどうかは、何を期待するかで変わります。昇給だけを見込んで取得すると、実際とのずれが生じやすくなります。

一方、かかりつけ薬剤師を担う場合には研修認定の取得価値を感じられるでしょう。勤務先の薬局が施設基準を届け出る場合も同じです。担当業務を広げたい薬剤師にとっては、認定が学習の目標として機能します。

反対に、勤務先が資格手当も施設基準も持たない場合や目的がない場合は、負担のほうを強く感じるかもしれません。同じ制度でも、置かれた条件によって受け取り方は変わるものです。

判断の軸は制度の側ではなく自分の側にあります。「認定を受けるべきか」ではなく、「自分の目的に合うか」を考える必要があります。

認定薬剤師は意味がないと言われる理由

「意味がない」と評価される背景には、期待していたものと制度の条件とのずれがあります。主な理由は、待遇への反映、維持の負担、活かせる場面の少なさの3つに整理できます。

資格手当や昇給に直結しない

認定を受けても、基本給や資格手当が自動的に増えるわけではありません。認定制度の側に賃金を動かす仕組みはなく、待遇への反映は勤務先の賃金規程と評価制度で決まります。

取得費用を補助する職場もあれば、毎月の資格手当を支給する職場もあり、待遇を変えない職場もあります。費用と時間をかけたのに給与明細が変わらなければ、取っても意味がなかったと受け止められます。

取得と更新に時間や費用がかかる

研修認定薬剤師制度の場合、新規認定に40単位、更新認定に30単位を設定する実施機関が多数を占めます※1。単位は研修を受けて積み上げるため、必要な単位数がそのまま学習時間になります。

認定は一度受ければ終わりではなく、更新のたびに同じだけの単位を集め直します。受講費用と認定審査料も、その都度必要です。得られるものが見えないまま負担が続けば、割に合わないと感じられます。

かかりつけ薬剤師以外で活かす場面が少ない(研修認定)

研修認定薬剤師制度の場合、取得が制度上の要件として働くのは、かかりつけ薬剤師を担う場合と薬局が地域支援・医薬品供給対応体制加算を届け出る場合です※2。この2つに関わらない働き方では、認定を取得していても制度の上での出番がありません。

調剤や監査、服薬指導といった日々の業務は、認定の有無にかかわらず同じように行います。取得しても担当する仕事が変わらなければ、認定を持つ意味は感じられにくくなるでしょう。

※1 出典:薬剤師認定制度認証機構「認証申請の指針」(2026年8月12日閲覧)
※2 出典:厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(2026年8月12日閲覧)

実態調査でみる研修認定薬剤師取得後の変化

ためとこは2026年6月、会員である薬剤師190名を対象にWebアンケートを実施しました。ここで示す数字は、そのうち研修認定薬剤師の認定を受けていた116名の回答です。

回答者190名のうち、研修認定薬剤師を取得済みの人は116名で61.1%、未取得の人は74名で38.9%でした。役職別では、薬局長・管理薬剤師・エリアマネージャーの取得率が91.7%にのぼります。一般薬剤師(正社員)では49.5%で、役職によって差が出ています。※1

年代別の取得率は、20代が23.7%にとどまる一方、30代以降はいずれの年代でも7割から8割台でした。周囲が持っているかどうかは、役職と年代によって見え方が変わります。同僚の状況だけを基準にすると、自分に必要かどうかの判断からは遠ざかります。

回答者はためとこ会員に限られ、生涯研修認定制度の取得者に絞った実感である点をご了承ください。領域別の認定や専門薬剤師を含めた認定薬剤師全体の実態を示すものではありません。

収入面に変化がなかった人は60.3%

研修認定薬剤師の認定を受けた116名に、認定後の収入面の変化を尋ねました※1。取得費用の補助と資格手当を合わせると変化があったのは41名にのぼります。

収入面の変化回答数割合
特に変化はない70名60.3%
取得費用のみ支給された28名24.1%
資格手当が支給されるようになった13名11.2%
わからない、覚えていない3名2.6%
基本給または年収が上がった2名1.7%

一方、基本給や年収そのものが上がった人は2名にとどまります。

メリットを実感した人は67.2%

同じ116名のうち、何らかのメリットを実感した人は78名で、67.2%にあたります。その78名に具体的な内容を尋ねたところ、専門知識やスキルの向上が51名、業務への自信が35名でした。※1

加えて少数ですが、転職やキャリアアップで有利だったと答えた人が13名、取得手当が支給された人が11名と続きます。

名刺やプロフィールに記載できる7名、職場での評価が上がった5名、患者や同僚からの信頼が増した5名も挙がりました。

実感されている価値の中心は、収入よりも知識やスキル、自信でした。認定を受ける前に何を得たいのかを決めておくと、取得後の受け止め方が変わってきます。

更新への不安を経験した人は63.8%

116名のうち、更新時に何らかの不安やつまずきを経験した人は74名で、63.8%にのぼります。74名への複数回答では、どの講座を受ければよいか迷った人が28名でした。単位が足りなくなりそうになった人と、仕事や家庭との両立が難しかった人が、それぞれ24名で続きます。※1

さらに、更新期限を見落としかけた人が17名、実際に更新が間に合わなかった人が11名います。つまずきの中身は、学習内容そのものではなく計画と管理に集中しています。

認定を目指すかどうかを考えるときは、受けるまでの負担だけでなく、更新に必要な学習時間と管理を続けられるかまで見ておく必要があります。

※1 出典:ためとこ「研修認定薬剤師116名に聞いた、取得後の変化と更新の課題【実態調査2026】」(2026年8月12日閲覧)

認定薬剤師が役立つ具体的な場面

認定が制度上の要件として効く場面は、個人に課される要件と、薬局が届け出る施設基準の2つに分かれます。担当する業務と勤務先の体制の両面から、自分に当てはまるかを確かめましょう。

かかりつけ薬剤師の要件を満たす場合

かかりつけ薬剤師として必要な指導等を行う保険薬剤師には、薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定薬剤師制度等の研修認定の取得が求められます。※1ここでいう研修認定は、生涯研修認定制度の認定にあたります。

要件は研修認定だけではありません。あわせて次の条件を満たす必要があります。

  • 保険薬剤師として3年以上の保険薬局勤務経験があること
  • 当該保険薬局に週31時間以上勤務していること
  • 届出時点で当該保険薬局に継続して6か月以上在籍していること
  • 医療に係る地域活動の取組に参画していること

これらの条件のうち、研修認定は自分で単位を集めない限り積み上がりません。かかりつけ薬剤師を担う予定があるなら、研修認定は避けて通れない要件です。

勤務先で担当する見込みがあるかどうかを、まず確認しておきましょう。予定があるなら、生涯研修認定制度の単位を計画的に集める段階に入ります。

薬局の施設基準の実績に関わる場合

地域支援・医薬品供給対応体制加算では、地域医療への貢献を示す実績として9つの項目が定められています。そのうちの1つが、研修認定を取得した保険薬剤師が地域の多職種と連携する会議に出席した回数です。※1

必要な回数は加算の区分によって変わり、年1回以上または年5回以上が基準になります。薬局は9項目のうち定められた数を満たす必要があるため、この1項目が届出の成否を分ける場合もあります。

この項目は、個人の要件ではなく薬局単位の実績として数えられます。自分には必要ないと考えていた薬剤師でも、勤務先が加算を届け出ていれば、認定と会議への出席が薬局の体制を支えることになります。

勤務先がこの加算を届け出ているか、届出を検討しているかは、管理薬剤師や本部の担当者に確認できます。届出があれば、認定を受ける意味は自分の待遇だけで決まらなくなるでしょう。

管理薬剤師や在宅業務を担う場合

担当する業務が広がると、領域を限定した認定が実務の裏づけとして働く場面が出てきます。在宅医療に関わるなら在宅療養支援認定薬剤師、感染対策に関わるなら感染制御認定薬剤師のように、業務と対応する制度があります。

ただし、これらは管理薬剤師や在宅業務を担うための必須要件ではありません。制度上の義務ではなく、実務で説明できる根拠を増やす手段として位置づけると判断しやすくなります。

領域別の認定は、必要な単位数も研修内容の条件も制度ごとに決まっています。目指す領域が決まってから要件を確認すると、必要な単位や研修を無駄なく積めます。

数年後にどの業務を担いたいかが決まっていれば、そこから区分を絞れます。まだ定まっていない段階であれば、職能全般を対象とする生涯研修認定制度から始める選択もあるでしょう。

学習歴をキャリア形成に生かす場合

認定は、継続して学んできた事実を説明する材料になります。ただし認定名だけを履歴書へ書くよりも、学習内容と実務での活用をあわせて伝えるほうが、自分の強みは具体的に伝わります。

たとえば「糖尿病の講座を継続して受講し、服薬指導で確認する項目を見直した」のように、学習の過程を業務経験と結びつけます。認定を経験の代わりにするのではなく、経験を補強する学習歴として使う考え方です。

この使い方であれば、実態調査で上位に挙がった知識やスキルの向上が、そのまま説明の材料になります。受講した講座の記録を残しておくと、必要になったときに振り返れます。

調査で転職やキャリアアップに有利だったと答えた人は78名中13名で、多数派ではありません。認定そのものよりも、認定を取るまでに何を学び、どう使ったかが評価の材料になります。

※1 出典:厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(2026年8月12日閲覧)

認定薬剤師の更新の負担を減らす方法

調査で多かった講座選び、単位の不足、両立の難しさは、いずれも管理の問題です。単位の進捗と学習時間を見える形にすると、期限直前の負担は軽くなります。

受講した講座と単位の進捗を可視化する

まず、年間に必要な単位数から逆算して、確保できる学習時間で無理がないかを見積もります。そのうえで更新期限から逆算し、取得済みの単位と不足分を一か所で管理しましょう。

管理の目的は、どの単位がいつ取得したもので、次の申請に使えるかを判別できる状態にすることです。手段は手帳でも表計算ソフトでもかまいません。期限直前にまとめて受講する形を避けられれば十分です。

単位証明書を受け取ったまま保管場所が分かれると、正確な不足数を把握できません。他のプロバイダーで取得した単位を記録し忘れた場合も同じです。3年間の合計だけでなく、各年の取得状況を月単位で見直しておくと安心です。

学習時間を十分に取れない時期でも、進め方は調整できます。たとえば薬学ゼミナール生涯学習センターでは、特別な事由により所定の単位を取得できない場合に認定期間の延長を認めています※1。単位が不足してから動くのではなく、早めに申請先の実施機関へ相談しておきましょう。

空き時間を活用して学習を継続する

学習時間を休日だけにまとめると、急な勤務や家庭の予定で計画が崩れやすくなります。通勤や休憩、家事の合間など、短い時間でも進められる形式を組み合わせると続けやすくなるでしょう。

ただし、受講しやすさだけで講座を選ぶと、学んだ内容が業務につながりません。疑義照会で迷った分野や、服薬指導で説明しにくかった疾患から選ぶと、学習と実務が結びつきます。

学びたいテーマと続けやすい形式の両方から選びましょう。調査で最も多かった「どの講座を受ければよいか迷った」状態は、この基準を先に決めておくと避けられます。

ためとこで受講から申請までをまとめて行う

研修認定薬剤師対象のeラーニングサービス「ためとこ」では最短5分から講座を受講でき、取得した単位は受講履歴へ反映されます。他のプロバイダーで取得した単位も、単位シールや単位証明書を撮影して登録可能です。

単位の管理から認定申請までWeb上で行え、年間に必要な単位数を満たしていない場合には通知が届きます。

更新の手順から確かめたい方は、研修認定薬剤師の更新方法の記事もぜひご覧ください。講座の受講と単位の進捗管理をひとつにまとめたい方は、ぜひご活用ください。

※1 出典:薬学ゼミナール生涯学習センター「生涯研修認定制度実施要綱」(2026年8月12日閲覧)

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認定薬剤師に関するよくある質問

認定の必要性、待遇、更新について、判断時に迷いやすい点を整理します。

研修認定薬剤師の認定は必須ですか?

認定がなくても、薬剤師として働けます。認定制度は薬剤師免許とは別の枠組みです。必須になるのは、かかりつけ薬剤師を担う場合と、勤務先が地域支援・医薬品供給対応体制加算を届け出る場合の2つです。担当したい役割と勤務先の届出状況から判断しましょう。

ただし、研修認定薬剤師は、日頃から研修を受けて知識を更新していることを示せる資格です。スキルアップはもちろん、患者さんや勤務先からの信頼につながるため、多くの薬剤師が取得を目指しています。

認定薬剤師の認定で年収や待遇は変わりますか?

必ず変わるとは限りません。ためとこの調査では、研修認定薬剤師の認定を受けた116名のうち60.3%が、収入面に特に変化はなかったと回答しました。待遇への反映は職場ごとに異なるため、就業規則や支給条件を申請前に確認しましょう。

認定薬剤師の更新をしないとどうなりますか?

認定には有効期間があり、更新しなければ認定を失います。更新期限を過ぎるなどして要件を満たさない場合、次の申請は「新規」の扱いです。見送った後に再び目指すときは、新規申請の条件を確かめておきましょう。

認定薬剤師の取得価値を考えるには

認定は、昇給や転職での評価を自動的に約束するものではありません。実態調査でも、収入面に変化がなかった人が過半数を占めました。

一方、かかりつけ薬剤師の要件や薬局の施設基準の実績では、研修認定が制度上の条件として直接効きます。継続学習の成果や業務への自信につながったと答えた人も、取得者の7割近くにのぼりました。

意味があるかどうかは、制度の価値ではなく自分の目的によって決まります。まずはどのようなスキルを身につけたいのか、勤務先で定められた要件はあるのかを確かめましょう。

そのうえで、担当する予定の業務から区分を絞り込むのがおすすめです。取ると決めたら、年間に必要な単位数と学習時間を先に見積もっておくと、更新まで続けやすくなります。

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