コラム

在宅療養支援認定薬剤師とは?認定要件・必要単位・申請方法と試験まで解説

在宅業務を担当し始めると、在宅療養支援認定薬剤師に興味を持ち始め、「単位や事例報告は何から準備すればよいのか」と気になる場面もあるでしょう。

在宅療養支援認定薬剤師は、在宅療養支援に関する知識、技能、態度を備えた薬剤師を日本在宅薬学会が認定する制度です。

この記事では、在宅療養支援認定薬剤師を目指す薬剤師が確認したい認定要件、申請の流れ、試験、更新、準備前の注意点を整理します。自分が今すぐ申請準備に進めるのか、先に整えるべき要件があるのかを判断する材料にしてください。

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在宅療養支援認定薬剤師とは

在宅療養支援認定薬剤師は、在宅療養支援に必要な知識、技能、態度を備えた薬剤師を認定する制度です。※1

日本在宅薬学会が運営するこの認定は、在宅医療に関わる薬剤師の専門性を示す制度といえるでしょう。

在宅医療では、患者さんの生活環境、服薬状況、家族や介護職との関わりまで含めて薬物療法を支える必要があります。外来窓口での服薬指導とは違い、薬が実際に生活の中で使われている場面まで見ながら関わる点が大きな特徴です。

制度の目的と位置づけ

日本在宅薬学会の要綱では、在宅や居住系施設で療養する要支援者などに、薬剤師の専門性を生かした医療、介護を提供し、在宅支援チームの一員として保健、医療、福祉に貢献できる薬剤師を育成することが目的とされています。※2

在宅業務の経験は申請準備の土台になりますが、経験だけで認定される制度ではありません。在宅療養支援認定薬剤師の認定では、一定の研修、実務経験、事例報告、試験などを通じて、在宅療養支援に関する実践力が確認されます。

日本在宅薬学会は、在宅療養支援に関する知識、技能、態度を備えた薬剤師を育成する制度として、在宅療養支援認定薬剤師を位置づけています。日本在宅薬学会認定単位はP03として扱われ、他の認証制度との単位互換についても注意が示されています。※1

研修認定薬剤師との違い

「認定薬剤師」は総称です。そのため、単独資格としての「認定薬剤師」があるわけではなく、制度ごとに認定主体や要件が異なります。

在宅療養支援認定薬剤師と混同しやすいものに、研修認定薬剤師があります。研修認定薬剤師は、継続的な生涯学習の成果を示す制度です。※3一方、在宅療養支援認定薬剤師は、在宅療養支援の領域に焦点を当てた認定制度です。

申請準備では、この違いを最初に確認します。在宅療養支援認定薬剤師の新規認定では、前提資格として、CPCにより認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師、日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師、日本医療薬学会認定薬剤師のいずれかが必要です。※2

ただし、これらの認定薬剤師資格のいずれかを持っていれば、在宅療養支援認定薬剤師として認定されるわけではありません。前提資格に加えて、研修単位、学術大会参加、バイタルサイン講習会、事例報告、試験合格なども必要です。

※1 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「在宅療養支援認定薬剤師」(2026年7月15日閲覧)
※2 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「在宅療養支援認定薬剤師 要綱」(2026年7月15日閲覧)
※3 出典:薬ゼミ生涯学習センター「認定制度」(2026年7月15日閲覧)

在宅療養支援認定薬剤師の役割

在宅療養支援認定薬剤師に期待される役割は、薬を届けることだけではありません。患者さんの生活の中で薬物療法が適切に続くよう、多職種と連携しながら支えることが中心です。

在宅医療では、薬剤の効果や副作用だけでなく、飲み忘れ、残薬、嚥下状態、保管状況、介護者の負担なども薬物療法に影響します。こうした情報を拾い上げ、医師や看護師などに共有する視点が求められます。

在宅医療での関わり方

在宅医療で薬剤師が関わる場面は、薬剤管理、服薬支援、残薬確認、副作用の確認、処方提案のための情報整理など多岐にわたります。

たとえば、同じ処方内容でも、患者さんが一人暮らしか、家族の支援があるか、訪問看護が入っているかによって、服薬支援の方法は変わります。在宅医療では、生活背景を見ながら薬物療法を整えることが求められます。

在宅療養支援認定薬剤師を目指す過程では、こうした現場での関わりを事例報告として言語化する力も問われます。日々の業務をただ経験として積むだけでなく、薬学的な介入として整理できるかが重要です。

在宅医療と薬局業務の関係を整理したい場合は、薬局の居宅療養管理指導の記事もぜひご覧ください。

多職種連携での役割

在宅療養では、医師、看護師、ケアマネジャー、介護職、家族など、多くの関係者が患者さんを支えています。薬剤師はその中で、薬物療法に関する情報をつなぐ役割を担います。

副作用が疑われる変化、服薬状況、残薬の増減、飲みにくさ、処方意図とのずれなどは、薬剤師が気づきやすい情報です。必要に応じて医師へ情報提供し、ケアチーム全体で方針を調整できるようにします。

こうした連携は、在宅療養支援認定薬剤師の認定要件にある事例報告とも関係します。どのような課題を見つけ、どのように介入し、患者さんの療養にどうつながったのかを説明できることが、専門性の可視化につながります。

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在宅療養支援認定薬剤師の認定要件

在宅療養支援認定薬剤師の新規認定には、薬剤師としての実務経験、前提となる認定、研修単位、事例報告、試験合格などの要件があります。

要件は複数あるため、最初に全体像を押さえてから、自分に不足しているものを確認すると準備しやすくなります。

薬剤師資格と実務経験

在宅療養支援認定薬剤師の新規認定を申請するには、日本国の薬剤師資格と3年以上の薬剤師実務経験が必要です。※1

この要件は、在宅業務だけの経験年数を指すものではなく、薬剤師としての実務経験を確認する入口条件です。ただし、認定では在宅業務の実践による事例報告も求められるため、薬剤師経験があるだけで準備が完了するわけではありません。

実務経験を満たしている場合でも、次に確認したいのは前提となる認定と研修単位です。ここを見落とすと、申請直前に不足がわかることがあります。

前提となる認定

在宅療養支援認定薬剤師の新規認定要件では、次のいずれかの資格を有していることが求められます。※1

  • 薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師
  • 日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師
  • 日本医療薬学会認定薬剤師

ここでいう「生涯研修認定制度による認定薬剤師」には、CPC認証プロバイダーの制度が関わります。薬ゼミ生涯学習センターはG13のプロバイダーであり、研修認定薬剤師に関する学習や申請の文脈で関係します。※2

研修認定薬剤師の制度全体を整理したい場合は、認定薬剤師とはの記事もご参考ください。

研修単位と上限

在宅療養支援認定薬剤師の新規認定では、40単位以上の研修単位が必要です。細則では、認定薬剤師研修講座として計35単位以上を取得すること、さらに在宅業務の実践による5事例の報告を行い5単位を取得することが示されています。※3

在宅療養支援認定薬剤師の新規認定に必要な単位を整理すると、考え方は次のようになります。※3※4

必要な研修単位合計40単位以上
└認定薬剤師研修講座35単位以上
└在宅業務の実践による事例報告5事例の報告で5単位

講座受講による35単位取得は以下の講座や講習会などに参加することで取得できます。

項目備考
認定薬剤師研修講座他プロバイダー発行単位は15単位以内
バイタルサイン講習会3単位、修了証の写しの提示が必須
日本在宅薬学会学術大会3年以内で7単位以内、参加証の写しの提示が必須
日本在宅薬学会漢方セミナー3年以内で9単位以内

在宅療養支援認定薬剤師の単位管理で特に注意したいのは、単位の合計だけを見ればよいわけではない点です。どの単位をどの枠で取得したのか、上限を超えていないかを確認する必要があります。

在宅療養支援認定薬剤師の研修単位の有効期間は、取得から3年間とされています。※3過去に取得した単位がある場合も、申請時点で有効期間内かどうかの確認が必要です。

事例報告と講習会

在宅療養支援認定薬剤師の新規認定では、所定の様式による5事例の事例報告書の提出が必要です。さらに、日本在宅薬学会主催の学術大会参加証の写しと、バイタルサイン講習会修了証の写しも求められます。※3

事例報告は、在宅業務の経験を数として示すだけではありません。患者さんの状態、薬学的課題、介入内容、連携、結果などを整理し、薬剤師としての関わりを説明する資料になります。

試験概要では、個人在宅、施設在宅等、多様な事例報告の提出が推奨されています。※5日々の在宅業務の中で、どの事例を報告に使えそうかを早めに整理しておくと、申請書作成時の手戻りを減らせます。

※1 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「在宅療養支援認定薬剤師 要綱」(2026年7月15日閲覧)
※2 出典:薬ゼミ生涯学習センター「認定制度」(2026年7月15日閲覧)
※3 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「在宅療養支援認定薬剤師 要綱細則」(2026年7月15日閲覧)
※4 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「新規申請手続き方法」(2026年7月15日閲覧)
※5 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「第十三回 在宅療養支援認定薬剤師認定試験」(2026年7月15日閲覧)

在宅療養支援認定薬剤師の申請

在宅療養支援認定薬剤師の申請では、審査料の振込、事例報告書の査読、筆記試験、面接試験、登録料の納付まで流れがあります。※2※3単位をそろえて終わりではないため、書類と試験日程をあわせて確認する必要があります。

年度ごとに申請期間や試験日が変わるため、申請を考え始めた段階で公式ページを確認しておくと安心です。

必要書類をそろえる

在宅療養支援認定薬剤師の新規認定申請では、細則上、申請書類と事例報告書をそろえることが求められます。※1

  • 認定申請書
  • 認定薬剤師手帳(受講証明書添付のもの:合計35単位以上)
  • 薬剤師免許証の写し
  • 前提となる認定薬剤師証の写し
  • 認定審査料の振込証明書の写し
  • 所定の様式による5事例の事例報告書
  • 日本在宅薬学会主催の学術大会参加証の写し
  • バイタルサイン講習会修了証の写し
  • 抱負(所定用紙あり)

試験概要では、申請書類や事例報告書に不備がある場合、書類審査で不合格となり受付できない旨も示されています。※3申請者は、書式や必要書類を申請年度の公式ページで必ず確認しましょう。

申請期間を確認する

第13回認定試験の新規申請では、申請期間は2026年8月1日から2026年9月30日までと案内されています。※2年度によって期間や試験日は変わるため、この記事を読んだ時点の最新情報は公式ページで確認する必要があります。

在宅療養支援認定薬剤師の申請から認定までは、おおまかに次の流れです。※2※3

1. 単位を取得する
2. 必要書類をそろえる
3. 認定審査料を振り込む
4. 申請書類と事例報告書を送付する
5. 事例報告書の査読を受ける
6. 筆記試験を受ける
7. 面接試験を受ける
8. 合格後に登録料を納付する

事例報告書の査読審査を通過した人に、CBT会場の予約方法が案内されます。※3試験日だけでなく、書類の締切から逆算して準備を進めましょう。

審査料と登録料

第13回認定試験の新規申請では、認定審査料は10,000円税込、登録料も10,000円税込と案内されています。※2登録料は、認定される際に必要となる費用です。

費用は変更される可能性があるため、申請者は本文中の金額だけで判断せず、申請時に公式ページの最新情報を確認しましょう。

また、提出済みの参加証や認定証を紛失した場合には再発行手数料が必要になる場合があります。※2単位や証明書類は、申請直前ではなく普段から保管方法を決めておくと、再発行や差し戻しのリスクを減らせます。

※1 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「在宅療養支援認定薬剤師 要綱細則」(2026年7月15日閲覧)
※2 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「新規申請手続き方法」(2026年7月15日閲覧)
※3 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「第十三回 在宅療養支援認定薬剤師認定試験」(2026年7月15日閲覧)

在宅療養支援認定薬剤師の試験

在宅療養支援認定薬剤師の試験は、筆記試験と面接試験で構成されます。※2筆記試験に合格した人が、次の面接試験に進む流れです。

合格基準は公開されていないため、難易度を合格率だけで判断することはできません。事例報告、単位取得、筆記試験、面接試験をまとめて確認すると、準備漏れを防ぎやすいでしょう。

筆記試験の概要

CBT-Solutionsの試験概要では、筆記試験はCBT多肢選択式50問120分とされています。※1学習方法については、日本在宅薬学会のeラーニングから主に出題され、その他、在宅療養支援認定薬剤師として理解していてほしいことを問うと案内されています。※1

第13回認定試験では、筆記試験は2026年12月6日に実施予定です。※2CBT会場は最寄りのテストセンターで、会場予約は事例報告書の査読審査通過者に別途案内されます。※2

合格基準は非公開です。※1そのため、「何点取ればよい」といった形ではなく、研修内容と在宅現場で必要な理解を結びつけて学習する姿勢が必要になります。

面接試験の概要

筆記試験に合格すると、面接試験の案内が行われます。第13回認定試験では、面接試験は2027年1月17日にオンラインで実施予定とされています。※2

面接試験では、提出済みの抱負と事例報告書5症例が必要です。※2どのような評価が行われるかを推測で断定することはできませんが、事例報告書の内容を自分の言葉で説明できる準備は欠かせないでしょう。

在宅療養支援認定薬剤師の試験対策では、筆記試験の勉強だけを進めるのではなく、日々の在宅業務を振り返ります。薬剤師として何を見立て、どのように関わったのかを整理しておく必要があります。

難易度の考え方

在宅療養支援認定薬剤師の難易度は、筆記試験の問題そのものだけで測るより、申請までの準備負担を含めて考えるほうが現実的です。

在宅療養支援認定薬剤師の難易度を準備負担まで含めて考える理由は、前提となる認定、3年以上の実務経験、40単位以上の研修単位、学術大会参加、バイタルサイン講習会、5事例の報告、筆記試験、面接試験が関わるためです。※3※4

特に、事例報告は直前に急いで整えるより、普段から在宅業務の記録を丁寧に残しておくほうが質を高めやすくなります。制度の要件を満たすことと、現場経験を説明できることの両方が求められる点に、準備上の難しさがあります。

※1 出典:CBT-Solutions「在宅療養支援認定薬剤師 認定試験」(2026年7月15日閲覧)
※2 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「第十三回 在宅療養支援認定薬剤師認定試験」(2026年7月15日閲覧)
※3 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「在宅療養支援認定薬剤師 要綱」(2026年7月15日閲覧)
※4 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「在宅療養支援認定薬剤師 要綱細則」(2026年7月15日閲覧)

在宅療養支援認定薬剤師の更新

在宅療養支援認定薬剤師は、認定後も更新が必要です。※1在宅療養支援認定薬剤師は取得して終わりではなく、継続的な研修と実務報告を通じて専門性を維持する制度です。

在宅療養支援認定薬剤師の更新要件も複数あるため、認定後は早い段階から単位、事例、学術大会参加などを管理しておくことが重要です。

更新単位と年次条件

要綱では、在宅療養支援認定薬剤師は3年ごとに更新するとされています。※1更新では所定の研修講座受講により、各年5単位以上、3年間で合計30単位以上の研修単位を取得する必要があります。※2

在宅療養支援認定薬剤師の更新時の単位には上限もあります。細則では、他の研修プロバイダーの発行する研修単位は10単位以内、本学会学術大会は3年間で14単位以内、本学会漢方セミナーは新規認定基準に準ずるとされています。※2

項目更新での扱い
更新間隔3年ごと
必要単位3年間で30単位以上
年ごとの条件各年5単位以上
他プロバイダー発行単位10単位以内
日本在宅薬学会学術大会3年間で14単位以内
事例報告5事例

在宅療養支援認定薬剤師の更新準備では、合計30単位だけを見ていると、年ごとの5単位条件や単位上限を見落とすことがあります。認定期間の終盤だけでなく、1年ごとに進捗を確認すると見落としを防ぎやすくなります。

更新時の提出書類

在宅療養支援認定薬剤師の更新申請では、更新申請書、研修手帳、事例報告書、学術大会参加証などが必要です。※3申請者は、認定薬剤師証の写しや認定審査料の振込証明書の写しも確認しておきましょう。

また、2023年2月認定の更新申請時より、プレアボイド登録3回が必須となり、更新書類として報告書3例分が必要とされています。※3

在宅療養支援認定薬剤師の更新では、過去3年間の学習と実務をまとめて確認されます。認定後も、単位証明や参加証、事例に関する資料を整理して保管しておくと、更新時の負担を軽くできます。

更新できない場合

所定の単位数に満たないなどの理由で更新の保留を希望する場合は、更新保留申請書を事務局へ送付する案内があります。※3

ただし、在宅療養支援認定薬剤師の更新保留について、どのような場合にどこまで保留できるかを自己判断で広げて考えるのは避けます。更新が難しそうな場合は、まず公式の更新申請ページを確認し、必要に応じて日本在宅薬学会へ問い合わせるのが確実です。

※1 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「在宅療養支援認定薬剤師 要綱」(2026年7月15日閲覧)
※2 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「在宅療養支援認定薬剤師 要綱細則」(2026年7月15日閲覧)
※3 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「更新申請手続き方法」(2026年7月15日閲覧)

在宅療養支援認定薬剤師の利点

在宅療養支援認定薬剤師の利点は、在宅医療に関する専門性や継続的な学習を示しやすくなることです。資格があるだけで待遇や役職が保証されるわけではありませんが、経験を説明する材料になります。

特に、在宅業務を担当する薬剤師にとっては、自分の知識や実践を整理し、患者さんや多職種との関わりに活かすきっかけになります。

現場で活かせる強み

在宅医療では、薬剤師が患者さんの生活に近い場所で関わります。薬の飲み方、残薬、保管、服薬タイミング、副作用の兆候など、現場でしか見えにくい情報を拾うことができます。

在宅療養支援認定薬剤師を目指す過程では、こうした日々の介入を事例として整理します。そのため、単に資格名を得るだけでなく、自分の薬学的判断を言語化する訓練にもなります。

多職種カンファレンスや医師への情報提供の場面でも、どのような薬学的課題を見つけ、何を提案したのかを説明しやすくなります。この説明力は、在宅現場で信頼を積み重ねるうえで大きな強みです。

キャリアでの活かし方

在宅業務を強化している薬局や、地域包括ケアに力を入れている職場では、在宅療養支援認定薬剤師の学習や認定に向けた経験が評価材料になることがあります。

ただし、資格を取れば必ず転職で有利になる、年収が上がる、といった断定はできません。職場の方針、担当業務、地域の在宅医療体制によって活かし方は変わります。

現実的には、在宅業務の中心を担いたい、社内で在宅対応の教育に関わりたい、多職種連携の場で薬剤師として発言できる力を高めたい人に向いています。

在宅療養支援認定薬剤師の申請前に必要な準備

在宅療養支援認定薬剤師を目指すなら、最初に公式要件を読み、自分の現在地を整理することが重要です。とくに前提資格、事例報告、単位管理は早めに確認しておきましょう。

「在宅経験はあるのに申請資格が足りない」「単位はあるが上限の扱いを誤っていた」といった状態を避けるためにも、準備順を分けて考えると安心です。

まず前提資格を確認

最初に確認したいのは、前提となる認定を持っているかどうかです。CPC認証の生涯研修認定制度による認定薬剤師、日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師、日本医療薬学会認定薬剤師のいずれかが必要になります。※1

まだ前提資格を満たしていない場合は、在宅療養支援認定薬剤師の申請準備と並行して、自分が取得を目指す前提認定の要件確認が必要です。

在宅療養支援認定薬剤師に必要な単位は、日本在宅薬学会の要綱、細則、申請ページで確認します。そのうえで、前提資格として取得・維持する認定の単位や更新は、該当する制度の要件に分けて確認しましょう。

ためとこは、CPC認証の薬学ゼミナール生涯学習センターG13が運営する薬剤師向けの生涯学習支援サービスです。※2G13の研修認定薬剤師に対応し、講座受講、単位管理、他プロバイダー取得単位の手動登録、認定申請などをアプリやブラウザで管理できます。※2

また認定薬剤師研修講座(計 35 単位以上を取得)は、CPC認証制度間と単位互換が可能です。※1
単位数の上限はありますが、受講できる講座の幅が広がるため、他プロバイダーの講座もチェックしてみましょう。

事例を計画的に残す

申請者は、在宅業務の事例報告を申請直前に思い出して作るのではなく、普段から記録を整えておくことが必要です。患者さんの状態、介入前の課題、薬剤師としての判断、連携内容、結果を整理できる形で残します。

試験概要では、個人在宅、施設在宅等、多様な事例報告の提出が推奨されています。※3担当している在宅業務が一つのパターンに偏っている場合は、どのように経験を広げるかも考えておきたいところです。

事例報告は、単なる成功例の紹介ではありません。現場で何を観察し、どのような薬学的課題を見立て、どのように多職種と連携したのかを伝える資料です。日々の薬歴や訪問記録の質も、準備の土台になります。

※1 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「在宅療養支援認定薬剤師 要綱」(2026年7月15日閲覧)
※2 出典:ためとこ「ためとこ公式サイト」(2026年7月15日閲覧)
※3 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「第十三回 在宅療養支援認定薬剤師認定試験」(2026年7月15日閲覧)

よくある質問

申請前に迷いやすい難易度、待遇、前提資格について整理します。

在宅療養支援認定薬剤師の取得は難しいですか?

筆記試験だけで難易度を判断するのは難しいです。CBT試験の合格基準は非公開で、公式に確認できる範囲では合格率を前提にした説明はできません※1

在宅療養支援認定薬剤師の申請・試験には、前提となる認定、3年以上の薬剤師実務経験、40単位以上の研修単位、学術大会参加、バイタルサイン講習会、5事例の報告、筆記試験、面接試験が関わります。※2※3

そのため、在宅療養支援認定薬剤師の難しさは「試験問題が難しいか」だけでなく、在宅業務の経験を積み、事例を整理し、単位と書類を計画的に準備する負担にもあるでしょう。

在宅療養支援認定薬剤師で年収や待遇は変わりますか?

在宅療養支援認定薬剤師の認定だけで、必ず年収や待遇が変わるとはいえません。給与や待遇は、勤務先の評価制度、担当業務、地域の在宅医療ニーズ、役職などによって変わります。

ただし、在宅療養支援認定薬剤師の学習や実務経験は在宅医療への関わりを示しやすくなるため、在宅業務を強化している職場では、担当範囲や役割の相談材料になる可能性があります。

年収だけを目的にするより、在宅患者への薬学的支援、多職種連携、事例を説明する力を高める資格として捉えるほうが現実的です。

研修認定薬剤師がないと申請できませんか?

在宅療養支援認定薬剤師の新規認定要件では、前提となる認定のいずれかが必要です。CPCにより認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師、日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師、日本医療薬学会認定薬剤師が該当します。※2

そのため、在宅療養支援認定薬剤師の前提認定にいずれも該当しない場合は、まず前提となる認定を整える必要があります。どの制度で認定を受けているかによって必要単位や更新条件が異なるため、自分の認定証とプロバイダーの要件を確認します。

研修認定薬剤師をこれから目指す場合は、認定薬剤師プロバイダーの記事もご参考ください。

※1 出典:CBT-Solutions「在宅療養支援認定薬剤師 認定試験」(2026年7月15日閲覧)
※2 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「在宅療養支援認定薬剤師 要綱」(2026年7月15日閲覧)
※3 出典:一般社団法人 日本在宅薬学会「在宅療養支援認定薬剤師 要綱細則」(2026年7月15日閲覧)

まとめ

在宅療養支援認定薬剤師は、在宅療養支援に関する知識、技能、態度を備えた薬剤師を日本在宅薬学会が認定する制度です。

在宅療養支援認定薬剤師の新規認定では、薬剤師資格と3年以上の実務経験だけでなく、前提となる認定、研修単位、学術大会参加、バイタルサイン講習会、5事例の報告、筆記試験と面接試験まで関わります。

在宅療養支援認定薬剤師を目指す場合は、申請年度の要綱、細則、試験概要を確認したうえで、自分に足りない要件を洗い出すことが大切です。前提資格、単位、在宅事例の準備状況が見えれば、日々の学習や訪問業務の記録も申請につながる形で整えやすくなるでしょう。

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