薬剤師が解説|目の腫れの主な原因とすぐできるケア方法
2025.12.15

目が腫れてしまうと、見た目の変化だけでなくまぶたの重さや違和感が気になることがあります。
アレルギー、炎症など原因はさまざまですが、どの原因で腫れているのかによって必要なケアが変わります。正しい方法を知っておくと症状を早く落ち着かせることができ、再発予防にもつながります。
ここでは、目の腫れを引かせる即効ケア、日常でできるセルフケア、受診が必要なケースまでを薬剤師の視点でまとめました。
目次
目が腫れる主な原因
目の腫れは一つの理由だけで起こるとは限らず、こすった刺激、血流の低下など複数の要因が重なって出ることがあります。どのタイプの腫れなのかを知っておくと、早く落ち着かせるためのケアを選びやすくなります。
涙が多く出た後のむくみ
涙は目尻側にある涙腺でつくられ、目頭の涙点を通って排出されます。泣き続けて涙の量が増えると、周囲の血液やリンパ液が滞りやすくなり、まぶたがむくんだように腫れて見えることがあります。
特に感情が大きく揺れた後は涙の産生量が急増するため、腫れが強く出やすい傾向があります。
アレルギーやこすりすぎによる腫れ
花粉やハウスダスト、化粧品などの刺激が加わると、まぶたの皮膚は炎症を起こしやすくなります。かゆみが強いとこすってしまいがちですが、目のまわりの皮膚は非常に薄いため、わずかな摩擦でも腫れや赤みが悪化します。
アレルギー体質の方は、気づかないうちに同じパターンで腫れが繰り返しやすいのも特徴です。
炎症による腫れ
ものもらいのように細菌が原因で炎症が起きている場合は、赤みや熱感、痛みを伴うことが多いです。炎症が進むと、まぶたに触れただけでも違和感があり、まばたきがつらくなることもあります。
軽症で自然に治ることもありますが、放置すると腫れが広がったり治りが遅くなるケースがあります。
むくみや血流の低下による腫れ
寝不足や塩分の摂りすぎ、アルコール、ストレス、運動不足などが続くと、血流が悪くなり体の水分がまぶたに留まりやすくなります。
朝起きたときに特に腫れが目立つのは、水分が重力の影響で顔まわりに集まるためです。日中に足がむくみやすい人も、同じ要因で目元が腫れやすい傾向があります。
フ目の腫れを早く引かせる即効ケア
腫れの原因によって適したケアが異なるため、症状の特徴により使い分けることがポイントです。
炎症がある場合は冷やす
赤み・痛み・熱っぽさがある場合は、炎症が中心になっている状態です。
清潔な冷たいタオルや保冷剤を薄い布で包み、まぶたに数分あてると熱が落ち着き、腫れが引きやすくなります。直接冷やしすぎると刺激になるため、あくまで軽く冷やす程度がちょうど良いです。
むくみは温めて流れをよくする
炎症ではなくむくみが主な原因のときは、温めるほうが適しています。
蒸しタオルや温めるアイマスクでまぶたをゆっくり温めると、血流がよくなり溜まった水分が流れていきやすくなります。泣いた後の腫れにも効果的です。
目薬を正しく使う
症状に合わせた目薬を使うことも大切です。
アレルギーが原因なら抗アレルギー成分、乾燥がきっかけなら涙に近い成分の人工涙液が役立ちます。同じ目薬でも目的が異なるため、症状に合ったものを選ぶことが大切です。
やさしいマッサージで水分の流れを整える
目頭からこめかみ方向に向けて軽くさすると、水分が流れやすくなり腫れが落ち着くことがあります。力を入れると炎症が悪化するため、指で肌をなでる程度の強さが安全です。
泣いた後の腫れを早く引かせる工夫
涙によるむくみには、「冷やす→温める」の順番が効果的です。最初に冷やして熱を落ち着かせた後、蒸しタオルで軽く温めると血流が整い、まぶたのむくみが引きやすくなります。
毎日の生活でできるセルフケア
一時的なケアだけでなく、腫れにくい状態を普段からつくっておくと症状が出づらくなります。
塩分を控えてむくみを予防する
塩分を多く摂ると体が水分を抱え込みやすくなり、まぶたのむくみにつながります。スープや加工食品など、塩分が多くなりやすいメニューの日はバランスに気をつけると負担が軽くなります。
質の良い睡眠をとる
寝不足は血流を悪くし、まぶたに水分が溜まりやすくなります。就寝前のスマホを控えて体を休める準備をしておくと、翌朝の腫れが出にくくなります。
目をこすらない習慣をつける
かゆみがあってもこするのは腫れを悪化させる原因です。冷やしたり、症状に合った目薬を使ったりするなどの対処により、まぶたへの負担を減らせます。
洗顔やメイクの落とし方に注意する
目元は刺激に弱いため、クレンジングの際に力を入れすぎないことが大切です。刺激の少ないタイプを選び、やさしくなじませるように使うと炎症を防ぎやすくなります。
アレルギー対策をする
花粉やハウスダストが原因の場合、環境を整えるだけでも症状が軽くなることがあります。枕カバーをこまめに替えたり、帰宅後すぐに洗顔してアレルゲンを落としたりする習慣が役立ちます。
受診が必要な症状
ケアをしても改善しない、あるいは悪化している場合は、自己判断に頼らず専門の診察を受けることが大切です。
痛みや強い赤みが続く場合
まぶたの赤みや痛みが数日続く場合は、細菌による炎症や感染の可能性があります。熱っぽさを伴ったり、触れると強い痛みがあるときは特に注意が必要です。
放置すると腫れが広がることもあるため、早めに受診することで短期間で改善しやすくなります。
視力に影響が出ている場合
見えにくさや視界のかすみが出ている場合、腫れだけでなく角膜に傷がついていることがあります。コンタクトレンズの使用や乾燥と重なると悪化しやすく、放置すると治りが遅れることも。症状が続くときは眼科での診察が安心です。
アレルギー症状が悪化している場合
花粉やハウスダストが原因で、腫れやかゆみが繰り返し出ることがあります。こすると炎症が広がりやすく、市販の目薬では抑えにくい場合もあります。
症状が重い、毎回腫れが出るなどの場合は、薬の調整を含めて早めに相談することをおすすめします。
ものもらいが長引く場合
ものもらいは自然に治ることもありますが、しこりが大きい、痛みが続く、腫れが長引く場合は治療が必要なことがあります。放置すると化膿したり治るまでに時間がかかるため、改善が遅いと感じたら受診を検討してください。
まとめ
目の腫れは、涙の影響やアレルギー、炎症、むくみなど複数の要因で起こります。早く落ち着かせるには、冷やす・温める・目薬を使うなど、原因に合わせたケアを選ぶことが大切です。日頃から塩分を控えめにする、睡眠を確保する、目をこすらないといった習慣も腫れの予防につながります。
また、痛みが強い、赤みが続く、視界がかすむといった症状がある場合は、早めに受診することで悪化を防ぎやすくなります。日常のケアと早めの対応を意識して、目元の健康を保っていきましょう。
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