調剤管理料では調剤時残薬調整加算と薬学的有害事象等防止加算、2つが新設【2026年診療報酬改定情報】
2026.03.05

2年に1度行われる診療報酬改定ですが、変更内容を丁寧に読み解くと、「これから国や社会が薬剤師に何を求めているのか」というメッセージがはっきりと見えてきます。2026年(令和8年)改定では、調剤管理料において、加算が再編されました。
この記事では、新設された「調剤時残薬調整加算」と「薬学的有害事象等防止加算」に焦点を当て、求められる行動と必須スキルについて分かりやすく解説します。
目次
背景
調剤管理料は、調剤前の処方監査や薬学的分析といった対人業務の質を評価するものです。近年、オンライン資格確認システムの普及により、他院の処方や併用薬の情報が把握しやすくなり、重複投与などの機械的なチェックにかかる手間は軽減されてきました。
現在の状況をふまえ、今回の改定では単なる確認作業への評価を見直しています。かかりつけ薬剤師としての機能を推進し、一元的な情報把握に基づいた、実効性の高い残薬対策や未然に有害事象を防ぐ介入を重点的に評価する方針へとシフトしました。名称もより実態に即したものへ変更され、薬剤師の能動的な働きかけが求められています。
概要および変更点
今回の見直しにより、これまでの調剤管理料の加算のうち2つが廃止され、新たに2つが新設されました。ポイントは、名称の変更や点数の変化にとどまらず、疑義照会などによって、実際に処方内容や日数の変更に至った場合の評価がはっきりと高くなったことです。
調剤管理料の重複投薬・相互作用等防止加算は廃止
これまで、処方医へ疑義照会などをした際に算定できた「重複投薬・相互作用等防止加算」は廃止となりました。従来は、残薬調整に係るもの以外で40点、残薬調整に係るもので20点が算定されていました。
調剤時残薬調整加算と薬学的有害事象等防止加算の新設
代わって新設されたのが以下の2つの加算です。新設された加算は、情報提供だけでは算定できず、介入の結果として、処方日数や処方内容の変更が実際に行われた場合に評価される、成果重視の仕組みです。
調剤時残薬調整加算
患者さんやご家族からの聞き取りで残薬が確認され、処方医に対する照会の結果、7日分以上相当の調剤日数の変更が行われた場合に50点が加算されます。ただし、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者さん・在宅の患者さんに対して行った場合、かかりつけ薬剤師以外が調剤日数の変更をした場合の加算は、30点にとどまります。担当がかかりつけ薬剤師であるかどうかが点数を左右するのです。
薬学的有害事象等防止加算
残薬以外の理由(重複投薬など)で処方医に確認すべき点があり、薬歴等に基づく照会の結果、実際に処方に変更が行われた場合に50点が加算されます。こちらも残薬調整時と同様に、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者さん・在宅の患者さんに対して行った場合、かかりつけ薬剤師以外が処方変更へと導いた場合の加算は30点となります。
薬剤師さんが注意すべきポイント
今回の改定で求められているのは、「薬が余っているので、日数を減らします」という表面的な対応ではありません。「なぜ飲めていないのか(副作用か? 嚥下困難か? 飲み忘れか?)」を深く分析し、解決策とともに医師へ提案する力も求められます。そのためには、検査値の確認や、患者さんのめまいやふらつきといった主観的な訴えから薬の影響を推測する臨床推論のスキルが必須です。コスト削減(残薬整理)にとどまらない、患者さんのQOL向上への貢献が問われています。
さらに、今回の点数設定において、かかりつけ薬剤師や在宅対応の有無によって50点と30点の差が設けられた点にも注目です。これは、その場限りの介入ではなく、普段から患者さんの生活背景を把握している、関係性を基にした継続的なサポートが国から強く求められていることを意味しています。
医師へ疑義照会する際も、「残薬が〇日分あります」という単なる事象の報告ではなく、「朝の服用を忘れがちなので、一包化や夜1回への変更はできないか」「粉薬でむせてしまうため、剤形変更は可能か」など、生活状況を踏まえた具体的な代替案を提示するコミュニケーション能力が問われます。多忙な医師に納得してもらうための、根拠に基づいた提案力が、これからの薬局の評価を大きく左右するのです。だからこそ、最新の知見を常に学び続ける姿勢が不可欠といえるでしょう。
まとめ
2026年改定により、薬剤師の対人業務は、行動し結果(変更)を出すことで評価される厳しい世界へと突入しました。
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