令和8年度調剤報酬改定の背景にある流れ
2026.03.06

令和8年度の調剤報酬改定。「点数がどう変わったのか」が気になるところですが、それ以上に大切なのは「なぜ、その改定が行われたのか」という背景です。
今回の改定は、かかりつけ薬剤師のあり方を改めて問い直す内容となっています。本記事では、その背景にある国の考え方や今後の方向性を整理してみたいと思います。
目次
今回の調剤報酬改定が目指しているもの
今回の改定の中心にあるのは、かかりつけ薬剤師業務の充実です。そして、その方向性を理解するうえで参考になるのが、「患者のための薬局ビジョン」と「骨太の方針2025」です。
患者のための薬局ビジョンでは、「患者本位の医薬分業がかかりつけ薬剤師・薬局によって実施されるよう、全ての薬局関係者が、医薬分業の原点に立ち返り患者本位の分業を実現するべく(中略)多職種・関係機関との信頼関係を培いながら、真摯な取組を行うことが求められており、この点について薬局関係者において十分認識する必要がある。」とあります。
つまり、薬局は患者のために機能すべきであり、多職種と連携しながらかかりつけ薬剤師としての能力を発揮してほしい、というメッセージが込められていると考えられます。
また、2035年までの将来像としては、「薬局についても中長期的な対応として、大病院に隣接した薬局を中心に、建替え時期等を契機に立地も地域へ移行し、少なくとも患者に身近な日常生活圏域単位で地域包括ケアの一翼を担える体制が構築されることが期待される。」と述べています。
これは、「門前薬局」から「地域の中で患者を支える薬局」へと転換していく流れがより明確になっていることを示しています。
骨太の方針2025とのつながり
さらに、今年度の「骨太の方針2025」では、持続可能な社会保障制度の実現が掲げられています。そこには、OTC類似薬の保険給付の見直しや、地域フォーミュラリの全国展開、医療DX、生活習慣病の重症化予防などが盛り込まれています。
これらを踏まえると、今回の改定は単なる点数調整ではなく、国の社会保障政策の一環として位置づけられていることが分かります。
象徴的な変更点:かかりつけ薬剤師の実績を評価
今回の改定で特に象徴的な変更の1つが、かかりつけ薬剤師指導料の廃止です。
その代わりに、
- 服薬管理指導料の評価
- かかりつけ薬剤師フォローアップ加算
- かかりつけ薬剤師訪問加算
- 服用薬剤調整支援料2
- 調剤時残薬調整加算(薬剤レビュー)
- 薬学的有害事象防止加算
といった評価が設けられました。
服薬管理指導料は、かかりつけ薬剤師が行った場合もそれ以外の場合も同じ45点(3か月以内の再来患者)です。
では、なぜ同じ点数なのでしょうか。その背景には、評価の考え方の変化があります。ポイントは、「登録」ではなく「実際に果たした役割」を評価するしくみに変わったことです。フォローアップ加算や訪問加算は、かかりつけ薬剤師でなければ算定できません。つまり、名目ではなく、継続的・一元的に患者を支えている“実績”が問われるようになったのです。
重要なのは継続的・一元的な患者サポート
中医協の答申には、かかりつけ薬剤師機能について重要な記載があります。「継続的かつ一元的に服薬管理していること」が前提条件であるという点です。これは、まさに薬局ビジョンが目指している姿そのものです。
今後ますます重要になるのは、患者さんの服薬情報を一元的に把握し、継続して関わり続けること。つまり、単発的な服薬指導ではなく、長期的な薬物治療管理が期待されていると言えるのではないでしょうか。
残薬・有害事象対応の評価も変化
重複投薬・相互作用防止加算は廃止され、新たに、
- 調剤時残薬調整加算
- 薬学的有害事象等防止加算
が設けられました。
これらは、かかりつけ薬剤師が実施した場合や、処方変更、在宅対応など、より踏み込んだ関与を評価するしくみになっています。
「気づいた」だけでなく、「行動し、結果につなげた」ことが評価される形へと変わってきているのです。
まとめ
今回の調剤報酬改定は、単なる点数の増減ではありません。その背景には、「地域の中で、継続的に患者を支える薬剤師を育てたい」という国からのメッセージがあります。
日常生活圏に暮らす患者さんの服薬情報を一元的に把握し、継続的に関わること。それこそが、薬剤師本来の役割であり、これからますます求められる力です。
薬剤師のみなさんは、改定内容を「覚えるもの」としてではなく「自分はどんな薬剤師を目指すのか」を考えるきっかけとして捉えてみてはいかがでしょうか。
そうした意識の積み重ねが、これからのキャリアを形づくっていくはずです。
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