コラム

薬剤師がおすすめするハンドクリーム|成分・使い分けで最適なケア

寒い季節やアルコール消毒が続く日々は、薬剤師の手肌にとって厳しい環境です。

本記事では、手荒れが気になる薬剤師向けに、成分の特徴や業務中でも使いやすいタイプ、症状別のおすすめハンドクリームをまとめました。

薬剤師の手はなぜ荒れやすい?まず知っておきたいポイント

薬剤師の手荒れには、日常の業務に由来するさまざまな理由があります。

  • アルコール消毒・手洗い回数の多さ
  • 粉薬・軟膏・紙袋による摩擦
  • 乾燥した調剤室

これらが重なることで、皮脂膜が奪われやすく、角層が傷つきやすい状態になります。また、薬局内はどうしても湿度が下がりやすいため、手の水分が蒸発し、乾燥が進みやすくもあります。

こうした背景から、薬剤師は一般の人より手荒れを起こしやすいため、業務中でも塗りやすく、効果的なハンドクリームを選ぶことが大切です。

ハンドクリームの種類

ハンドクリームは「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」の3種類に分けられ、それぞれ適した場面が異なります。

手荒れが進んでいる場合は医薬品が短期集中ケアに向いており、軽度の乾燥や予防には医薬部外品が扱いやすい選択肢になります。一方、業務の合間にこまめに使うなら、べたつきにくく書類や薬袋に触れても影響が出にくい化粧品タイプが最も実用的です。

薬剤師は、「症状の程度」と「業務のしやすさ」 の両方を考えて使い分けることが大切です。

効果的な成分

手荒れ対策を本気で考えるなら、「どんな成分が入っているか」を基準に選ぶのが最も確実です。

ここでは、薬剤師の業務環境や手荒れのタイプに合わせて使いやすい成分を、働きやすさの視点も交えながら解説します。

セラミド:保湿・バリア機能

セラミドは、肌のバリア機能を守るために欠かせない成分です。角層の水分を保ち、外部刺激から手肌を守る働きがあります。

とくに浸透型のセラミドは、べたつきにくく軽い仕上がりのものも多いため、日中の調剤業務中にも使いやすい点がメリットです。乾燥が続く季節や、手洗いの多い薬剤師には優先的に取り入れたい成分です。

尿素:角質ケア

尿素には、硬くなった角質をやわらかくする作用があります。乾燥が進んで指先のゴワつきが気になるときに有効です。目安として、10%以下は手荒れ初期向けで刺激が少なく扱いやすい濃度といえます。

一方、20%はかかとなどの硬い角質向けで、ひび割れがある部位ではしみることがあるため、薬剤師の手にはやや強めに感じる場合があります。症状に合わせて選ぶと安心です。

シアバター:高保湿

シアバターは、重めのテクスチャーで高い保湿力を持つ成分です。手肌をしっかり保護したいときに向いており、特に就寝前の集中ケアとして使うと翌朝のしっとり感が長く続きます。

ただし日中の調剤中には重く感じることが多いため、時間帯を選んで使うのがおすすめです。

ワセリン:外部刺激から守る保護膜

ワセリンは、皮膚表面に保護膜を作ることで水分蒸発を防ぎ、外的刺激から守る成分です。保護力が高い一方で、日中は重たさを感じることが多く、薬袋や書類がくっつく原因になることもあります。

ひび割れがひどいときや、夜のケアに活用すると効果的です。

ヘパリン類似物質:医薬品レベルで高保湿

保湿力の高さに加え、血行促進や皮膚の修復をサポートする働きがあり、皮膚科でも使われる成分です。薬剤師の間でも乾燥が強い季節に選ばれることが多く、手荒れ初期〜中等度の乾燥に優れた保湿効果を発揮します。

ただし、医薬品や医薬部外品として扱われることが多いため、症状や使用シーンに合わせて選ぶと良いでしょう。

グリセリン・BG系:保湿+べたつき軽減

グリセリンやBG(ブチレングリコール)は、水分を抱え込むことで肌をうるおわせる保湿成分です。保湿力がありつつも仕上がりが軽いため、塗ってすぐ業務に戻りたい薬剤師にとって非常に使いやすい種類です。

べたつきが気になる方や、調剤中に書類や紙袋が手に触れる機会が多い方には特におすすめです。

薬剤師は、日々手荒れのしやすい環境に置かれています。時間帯・状態・業務シーンに合わせて成分で選ぶことが、最も効率的なケアにつながります。

薬剤師におすすめのハンドクリーム

薬剤師が選ぶ際は、業務のしやすさと手荒れの程度を基準にすると判断しやすくなります。

日中は、セラミドやヒアルロン酸を含むジェルタイプや、シリコン配合のさらっと仕上がるタイプが便利で、塗ってすぐ調剤へ戻れる軽さが魅力です。

肌が敏感になりやすい時期は、アルコールフリーや無香料など刺激の少ない処方が安心です。セラミド中心のタイプは年間通して使いやすい傾向があります。

荒れが強いときには、尿素10%やヘパリン類似物質などの医薬品タイプを短期ケアとして取り入れると効果的です。夜は、シアバターやワセリン配合の濃厚クリームでしっかり保湿すると、翌朝の乾燥を防げます。

日中は軽く、夜はしっかりという使い分けが、薬剤師にとって最も実践しやすい選び方でしょう。

知らないと損するケア方法:正しい塗り方で効果アップ!

ハンドクリームは、成分だけでなく塗り方によっても保湿効果が大きく変わります。忙しい薬剤師でも取り入れやすい、シンプルで効果が出やすい方法をまとめました。

手洗い後、少し湿った状態で塗る

手洗い後のわずかに水分が残った状態は、保湿成分が角層になじみやすいタイミングです。完全に乾かしてから塗るよりも、うるおいを閉じ込めやすく、少量でもしっかり保湿できます。

アルコール消毒のあとでも、肌が乾燥しきる前に塗ると負担が少なく仕上がります。

指先・関節・ささくれは重点的に

手荒れが進みやすいのは、指先や関節など日常動作でよく使う部分です。少量を指先に追加して塗り込むことで、乾燥によるひび割れやささくれの悪化を防げます。

調剤やレジ作業で触れる機会が多い部分ほど、意識的にケアしておくと仕事中の痛みやひっかかりが減るでしょう。

寝る前はたっぷりと塗るのが最も効果的

就寝前は、日中に比べて外的刺激が少なく、保湿成分がとどまりやすい時間帯です。夜だけは、シアバターやワセリンが多い濃厚クリームをたっぷり使うと、翌朝の手の仕上がりに大きな差が出ます。

コットン手袋を併用すると、さらに効果が高まります。

まとめ

ハンドクリームは医薬品・指定医薬部外品・化粧品の3種類がありますが、効果の強さは分類だけでは判断できません。重要なのは、手荒れの状態に合った成分を選ぶことです。

尿素、ビタミンE、ヘパリン類似物質など、成分ごとに役割は異なります。必要な効果を手がかりに、自分に合う1本を見つけてみてください。

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