コラム

仕事中の眠気を防ぐには?薬剤師が教える原因と対策

昼食後や午後のデスクワーク中、突然襲ってくる強い眠気を経験したことがある人は少なくないでしょう。集中力が切れるだけでなく、判断ミスにもつながるため、放置は禁物です。

この記事では、薬剤師の視点から日中の眠気の原因と効果的な対策、市販薬やセルフケアのポイントを紹介します。

なぜ日中に眠くなるのか?眠気の主な原因

眠気を引き起こす要因は、寝不足だけではありません。体内リズムや自律神経、食事内容など、いくつもの要素が関係しています。

主な原因としては次のようなものがあります。

  • 自律神経の乱れ
  • 睡眠の質の低下
  • 昼食後の血糖値変動
  • 運動不足による代謝低下
  • カフェインの過剰摂取による反動の眠気

自律神経が乱れると、交感神経(活動モード)と副交感神経(休息モード)の切り替えがスムーズにいかなくなり、脳への酸素やエネルギーの供給が滞って集中力が低下します。

午後に強い眠気を感じるのは、生活リズムの乱れや体のエネルギー不足を知らせるサインといえるでしょう。

仕事中にできる眠気対策

午後の眠気を感じたときは、「体を動かす」「刺激を与える」「環境を変える」の3つを意識してみましょう。どれもすぐにできる簡単な方法ですが、組み合わせることで眠気のリセット効果が高まります。

立ち上がって体を動かす

長時間座りっぱなしの姿勢は、血流を滞らせて脳への酸素供給を減らします。軽く立ち上がってストレッチをしたり、階段を数段上り下りするだけでも、脳がすっきりして目が覚めやすくなります。特に午後のデスクワークでは、1時間に1回程度、席を立つ習慣をつけると効果的です。

ツボ刺激でリフレッシュ

短時間で眠気を和らげたいときは、ツボ押しもおすすめです。

・合谷(ごうこく):親指と人差し指の間にあるくぼみ。やや強めに押すと頭がシャキッとします。

・風池(ふうち):後頭部の生え際あたり、首のくぼみにあるツボ。軽く押すことで血流が促進され、首のこりや目の疲れもやわらぎます。

ツボ刺激は血流を改善し、交感神経を刺激して脳を覚醒させる働きがあります。デスクに座ったままでもできるので、眠気を感じたときに取り入れてみましょう。

深呼吸と軽い水分補給

眠気を感じたら、まず深呼吸を数回行ってください。酸素をしっかり取り込むことで、脳の血流が改善され、リフレッシュ効果が得られます。

また、常温の水を少しずつ飲むことも有効です。冷たい水よりも刺激が穏やかで、体内の代謝をサポートします。眠気防止の目的でコーヒーを飲む場合も、水分をしっかり補うことで脱水を防げます。

眠気対策に役立つ食事とカフェインの取り方

眠気を防ぐには、「昼食の内容」と「カフェインの摂り方」を見直すことが大切です。食事による血糖値の変化や、カフェインの反動による眠気は、午後のパフォーマンスに大きく影響します。

少しの工夫で体のリズムを整え、自然と眠気を感じにくくすることができます。

血糖値の急上昇を避ける

昼食で炭水化物を多く摂りすぎると、血糖値が急上昇したあとに急降下し、脳のエネルギー供給が不安定になります。これが「食後に強い眠気を感じる」主な原因のひとつです。

血糖値を安定させるには、次のポイントを意識しましょう。

  • ご飯やパンなどの炭水化物を控えめにする
  • 食物繊維を多く含む野菜から先に食べる
  • 鶏むね肉・豆腐・卵などのたんぱく質を組み合わせる

満腹になるまで食べず、「腹八分目」を心がけるのもポイントです。午後に眠くなりやすい人ほど、昼食の量と順番を見直すだけで、眠気の改善を実感しやすくなります。

コーヒーの飲み方を工夫する

カフェインは眠気覚ましに効果的ですが、摂り方次第で逆効果になることもあります。一気に飲みすぎると、体がカフェインに慣れて効果が薄れたり、切れたあとに強い眠気(反動)が起きたりします。

効果的な飲み方のポイントは次のとおりです。

  • タイミング: 眠気を感じる30分前が理想
  • 量: 1日2〜3杯までを目安に。飲みすぎは逆効果
  • 夜は控える: 就寝6時間前以降の摂取は睡眠の質を下げる

また、空腹時にブラックコーヒーを飲むと胃を刺激することがあるため、食後にミルクを少し加えて飲むのがおすすめです。コーヒーが苦手な人は、緑茶(カフェイン+テアニン)も穏やかな覚醒作用があります。

薬剤師がおすすめする市販の眠気対策アイテム

「ツボ押しやストレッチをしても効かない」「午後になると毎日眠くなる」、そんなときは、眠気対策として市販薬やサプリメントを取り入れてみるのも一つの方法です。ただし、使い方を誤ると逆効果になることもあるため、成分やタイミングを意識して活用しましょう。

眠気を抑える成分を含むアイテム

  • カフェイン配合市販薬
    脳を刺激して一時的に覚醒を促す効果があります。会議や運転前など「短時間だけ集中したい」ときに向いています。ただし、効果は一時的であり、飲みすぎると心拍数の上昇や不眠を引き起こすおそれがあります。1日1〜2本を目安にし、夜間の摂取は避けましょう。

  • 眠気対策サプリメント(ビタミンB群・アミノ酸系など)
    体の代謝をサポートし、エネルギー不足によるだるさや疲労感を軽減します。ビタミンB群は糖質をエネルギーに変える働きがあり、朝や昼の摂取が効果的です。即効性はありませんが、慢性的な疲れや集中力低下を感じる人には向いています。

また、鉄分や亜鉛の不足も日中のだるさや眠気につながることがあります。女性の方や食生活が不規則な人は、栄養バランスも意識して補うとよいでしょう。

ただし、強い眠気が長期間続く場合や、十分に寝ても改善しない場合は、 睡眠時無呼吸症候群や甲状腺機能低下症、貧血などの可能性もあります。「いつもと違う眠気」「日中の強い倦怠感」がある場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診しましょう。

まとめ|眠気は「生活リズムのサイン」として捉える

日中の眠気は、体が発する小さな警告サインです。睡眠不足だけでなく、生活リズムの乱れや栄養バランスの偏り、自律神経の乱れが関係していることも少なくありません。

眠気を我慢してやり過ごすのではなく、

  • 睡眠の質を高める
  • 食事の内容を見直す
  • 適度な運動で血流を促す

といった生活リズムの整え方を意識することで、根本的な改善につながります。

一方で、どうしても眠気が取れないときは、 カフェイン・ツボ押し・軽いストレッチなどの即効ケアをうまく活用するといいでしょう。体に無理をさせず、バランスを取りながら生活習慣そのものを見直すことが、根本的な眠気対策につながります。

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