コラム

ブルーベリーと目の健康の真実|科学的根拠に基づく視力・眼精疲労対策

ブルーベリーは目に良い食べ物として広く知られていますが、その根拠はどこまで信頼できるのでしょうか。健康食品やサプリとして人気が高まる一方、過剰な期待や誤解も少なくありません。 本記事では、アントシアニンの働きや研究結果を整理し、実際の効果や、どのように取り入れるとよいのかなどを解説します。

なぜブルーベリーが目に良いと言われるようになったのか

ブルーベリーと視力の関係が話題になったのは、第二次世界大戦の頃からとされています。あるイギリス空軍のパイロットが「薄暗い環境でも敵機がよく見える」と語り、その食生活を調べると毎日のようにブルーベリージャムを塗ったパンを食べていた、というエピソードが広まったのです。

この話をきっかけに研究が進み、ブルーベリーに含まれる色素成分「アントシアニン」が注目されました。アントシアニンには強い抗酸化作用があり、脳血管障害の予防や視機能の改善に寄与する可能性が示唆されています。さらにブルーベリーには、目や皮膚、鼻や喉といった粘膜を守るビタミンAも含まれており、総合的に「目に良い食材」と考えられるようになりました。

こうした歴史的背景と栄養成分の研究結果が相まって、「ブルーベリー=視力改善」というイメージが一般に浸透していったのです。ただし、後の研究では「ブルーベリーを食べたらすぐに視力が回復する」という即効的な効果は証明されていません。あくまで継続的な摂取や生活習慣全体の中でのサポートが大切だと理解する必要があります。

精神疾患を抱える人とのブルーベリーに含まれる栄養素とアントシアニンの働き

ブルーベリーの代表成分は、ポリフェノールの一種であるアントシアニンです。強い抗酸化作用を持ち、体内で発生する活性酸素を除去して細胞の酸化ストレスを軽減する働きがあります。特に目では、網膜に多く存在する光受容体タンパク質「ロドプシン」の再合成をサポートするとされ、暗い場所での視覚機能や目の疲労回復に関わる可能性が報告されています。

アントシアニンにはさらに、毛細血管を保護して血流を改善する作用も示唆されています。これにより眼球の血液循環をサポートし、眼精疲労の軽減や視機能の維持につながる可能性があると考えられています。加えて、抗炎症作用を持つことから、加齢や生活習慣による目のダメージを抑える働きも期待できます。

ブルーベリーにはアントシアニン以外にも、ビタミンCやEといった抗酸化ビタミンが含まれ、酸化ストレスから細胞を守る力を高めます。さらに食物繊維も含まれており、血糖コントロールや生活習慣病予防に役立つ点も見逃せません。

つまりブルーベリーは「目に良い」だけではなく、全身の健康を支える要素を持った食材といえるのです。

科学的根拠とエビデンスの整理

ブルーベリーの効果については数多くの研究が行われていますが、その結果は一様ではありません。ここでは代表的なエビデンスを整理します。

視覚疲労の改善

報告例:ブルーベリーや近縁種のビルベリーエキスを摂取することで、パソコン作業後の眼精疲労が軽減したという臨床研究があります。

評価:一部の参加者で自覚症状や調節機能の改善が見られましたが、研究規模が小さい・短期間であるなどの限界があり、全ての人に効果があるとは断定できません。

疾患予防の可能性

作用メカニズム:アントシアニンの抗酸化作用により、網膜や水晶体の酸化ストレスを抑え、加齢黄斑変性や白内障といった疾患のリスク低下につながる可能性が示されています。

研究状況:小規模な観察研究では有望な結果がある一方、大規模臨床試験では効果にばらつきがあり、明確な結論には至っていません。今後の研究が待たれる分野です。

即効性の誤解

一般的なイメージ:「ブルーベリーを食べたらすぐ視力が良くなる」という俗説が広まっています。

実際の知見:科学的には即効性は確認されておらず、効果が期待できるとすれば「継続摂取」や「食事全体のバランス改善」といった長期的な取り組みによるものです。

ブルーベリーの形態別の特徴

ブルーベリーの摂り方によって、得られる栄養や利便性は異なります。

  • 生ブルーベリー:ビタミンCのように熱に弱い栄養素をそのまま摂取できるため、旬の季節には最もおすすめの形態です。
  • 冷凍ブルーベリー:収穫直後に冷凍されるため栄養価の低下が少なく、一年を通して手軽に取り入れられます。
  • サプリメント:アントシアニンを安定的に摂れるのが利点。ただし品質や含有量にばらつきがあり、過剰摂取による胃腸障害などに注意が必要です。

用途や生活スタイルに応じて選び、無理なく続けられる形を見つけることが大切です。

アントシアニンを含む食材

ブルーベリーだけが特別な食材というわけではありません。アントシアニンは紫キャベツ、ナス、赤シソ、カシス、皮付きブドウなどにも豊富に含まれています。

ブルーベリーが手に入らないときでも、身近な食材で補うことが可能です。食卓に色の濃い野菜や果物を増やすことが、抗酸化作用を日常的に取り入れるシンプルな方法といえるでしょう。

ブルーベリーを取り入れる際の注意点と飲み方の工夫

アントシアニンの1日の目安量は日本人の食事摂取基準では定められていませんが、通常の食事で過剰になることはほとんどないとされています。

「視力を良くしたい」と大量にブルーベリーを食べても、効果は限定的です。特に甘味料入りのブルーベリージュースやジャムは糖質が多く、肥満や糖尿病リスクにつながるため注意が必要です。

アントシアニンを含んだサプリメントでは、1日あたり40~90mgの摂取を目安としている製品が多いです。各製品の摂取量を守り、過剰摂取を避けるようにしましょう。

また、目の健康を守るにはブルーベリー単独ではなく、バランスのとれた食事や適度な運動、十分な睡眠を組み合わせることが欠かせません。 こうした生活全体の工夫と併用してこそ、ブルーベリーの力を効果的に活かすことができるでしょう。

まとめ

ブルーベリーはアントシアニンを豊富に含み、眼精疲労や加齢に伴う目の健康維持に一定の役割が期待されています。ただし「すぐに視力が回復する」といった即効的な効果は確認されていません。

生や冷凍のブルーベリーを日常的に取り入れたり、他のアントシアニン食材を組み合わせたりすることで無理なく続けられます。サプリメントは補助的に活用できますが、品質や摂取量には十分注意する必要があります。

薬剤師としては「ブルーベリーは万能食材ではなく、生活習慣の一部として取り入れるもの」と伝えることが重要です。正しい知識をもとに提案することで、患者やお客様にとって安心できる健康サポートにつながります。

薬剤師の生涯学習を支援するための単位管理アプリです。
最短5分から学習できるコンテンツのほか、
研修認定薬剤師の取得済み単位シールや、
単位証明書の登録による、便利な単位管理システムも備えています。

詳しくはこちら

新着コラム