コラム

漢方薬・生薬認定薬剤師とは?取得方法・受講料・更新条件をわかりやすく解説

「漢方認定薬剤師」と呼ばれることもある資格の正式名称は、「漢方薬・生薬認定薬剤師」です。
漢方を多く扱う医療機関の門前薬局などでは、患者から漢方に関する相談を受ける機会が少なくありません。
証の考え方や方剤の使い分けまで自信を持って答えるために、知識の体系化と専門性の証明を同時にかなえる資格として注目されています。
一方で、研修の内容や受講料、更新の条件など、取得前に確認しておきたい情報は多岐にわたるでしょう。
この記事では、漢方薬・生薬認定薬剤師の制度概要から取得の流れ、費用、更新条件までを公式情報に基づいて整理しました。取得を検討する際の判断材料にしてください。

この記事を書いた人
執筆者
佐藤 美柚
薬剤師ライター 佐藤 美柚
総合病院門前の薬局で勤務中(7年目)。研修認定薬剤師、NR・サプリメントアドバイザーの資格を取得。 在宅や学校薬剤師など幅広く活動しています!
2児のママ薬剤師をしながら、医療ライターとしてさまざまな記事を執筆しています。
編集
株式会社医学アカデミー

漢方薬・生薬認定薬剤師とは?JPECと日本生薬学会が認定する資格

漢方薬・生薬認定薬剤師とは、漢方薬・生薬に関する専門的知識を修得し、能力と適性を備えた薬剤師であることを認定する資格です。

公益財団法人日本薬剤師研修センター(JPEC)一般社団法人日本生薬学会が共同で実施しており、2000年(平成12年)に開始されました。
有効認定者数は2025年9月末時点で3,781名、延べ認定者数は2024年3月末時点の8,537名にのぼります。

両機関が実施する「漢方薬・生薬研修会」を受講し、試問に合格すると、認定を受けることが可能です。
認定は日本薬剤師研修センター理事長と日本生薬学会長の連名で行われ、認定された薬剤師には認定証が交付されます。認定後は患者や医師をはじめとした医療従事者に、自信を持って漢方薬・生薬の情報提供ができるでしょう。

なお、同じ日本薬剤師研修センターが運営する「研修認定薬剤師制度」とは別の独立した認定制度です。
漢方薬・生薬研修会を受講しても、研修認定薬剤師制度の単位は交付されないことを理解しておきましょう。

漢方薬・生薬認定薬剤師を取得するメリット

取得の主なメリットは、漢方相談への対応力と外部への専門性の証明を同時に得られることです。

具体的には次のような効果が期待できます。

  • 証の考え方や方剤の使い分けなど、漢方の知識を体系的に整理できる
  • 認定証の掲示やIDカードの着装により、患者や医療従事者に専門性を示せる
  • 漢方相談窓口の立ち上げなど、薬局内での業務の幅を広げられる
  • 漢方に強い薬剤師としてキャリアの差別化につながる

漢方薬は同じ症状でも体質により適した方剤が異なるため、根拠を持った説明ができる薬剤師の存在は、患者の安心につながる要素です。

門前の処方傾向に漢方が多い薬局ほど、学んだ知識を業務に活かせる場面は増えるでしょう。

また、漢方薬・生薬の分野は医療用漢方製剤だけでなく、OTC医薬品や健康食品の相談まで関わる範囲が広く、認定取得の過程で幅広い相談に対応する土台を築けます。

医師への処方提案や疑義照会の質を高めたい方にも、取得する価値のある資格です。役割を果たすことが、救急認定薬剤師の専門性といえるでしょう。

漢方薬・生薬認定薬剤師の取得条件と流れ

勤務年数や症例報告といった要件はなく、定められた研修の修了と試問の合格により取得できます。
新規取得は次の3ステップで進めていきましょう。

ステップ1:漢方薬・生薬研修会の受講

最初のステップは、日本薬剤師研修センターと日本生薬学会が実施する「漢方薬・生薬研修会」の受講です。
研修は9回の講義(全44講義)と1回の薬用植物園実習(必修)で構成されます。

受講形式は、座学研修とインターネット研修の2種類から選択可能です。

項目座学研修インターネット研修
定員100名600名
受講方法月1回・東京会場で受講講義の収録映像を毎月配信(各回2か月間)
試問の受験要件9回中7回以上の出席全講義の受講
受講料(テキスト代・試問料込)税込60,500円税込60,500円

テキストには「漢方薬・生薬薬剤師講座テキスト 第6版」を使用し、座学研修でも復習用として後日講義動画を視聴できます。

申込先はPECS(薬剤師研修・認定電子システム)です。
2026年度は2025年12月8日に申込が開始され、座学・インターネットとも定員到達により締め切られました。

受講を決めたら、早めに申し込むことが重要です。

ステップ2:薬用植物園実習とレポート提出

薬用植物園実習は、全国約50か所の指定施設で春期・秋期のどちらか1回受講します。

実習後にレポートを提出し、合格しなければなりません。

実際に生薬のもととなる薬用植物に触れられる、本研修ならではのプログラムといえるでしょう。

なお、研修会を受講した年度に実習を受けられなかった場合は、翌年度の受講も認められています(受講料:税込6,600円)。

ステップ3:試問の受験と新規認定申請

講義の出席要件と実習レポートの合格を満たすと、試問を受験できます。

試問は研修翌年の6〜7月頃に実施され、不合格または未受験の場合は翌年に限り再受験が可能です(受験料:税込11,000円)。

過去の試問と解答は日本薬剤師研修センターのサイトで公開されているため、対策の参考にしてください。

試問に合格した後、新規認定申請を行い、審査を経て認定証が交付されます。

参考:漢方薬・生薬研修会|公益財団法人 日本薬剤師研修センター

取得を判断するためのコストとリターン

取得を判断するうえでは、かかるコストと得られるリターンを対比して考えることが大切です。

費用と期間の目安を次の表にまとめました。

項目内容
期間研修開始から認定取得まで約1.5〜2年弱
受講料60,500円(テキスト代・試問料込)
認定審査料(新規)22,000円
IDカード(希望者のみ)2,750円
労力月1回の研修受講(または配信視聴)、実習レポート、試問対策

費用の合計は8万円台と、薬剤師の認定資格のなかでは比較的大きな投資になります。

一方で、漢方相談への対応力という日々の業務に直結するリターンを得られる点が、この資格の特徴です。

漢方を扱う機会が月に何度もある環境であれば、投資に見合う価値を実感しやすいでしょう。

反対に、現在の業務で漢方に触れる機会が少ない場合は、優先順位の検討も必要です。

なお、認定の維持には3年ごとの審査料22,000円と単位取得が求められるため、取得後の継続コストも含めて判断してください。

漢方薬・生薬認定薬剤師の更新条件と継続学習

認定は3年ごとの更新制です。

更新には、認定期間中に次の単位をすべて満たす必要があります。

  • 認定期間(3年間)で、漢方薬・生薬に関する研修30単位以上を取得
  • 各年5単位以上を取得
  • 認定期間(3年間)で、必須研修10単位以上を含む

必須研修は、日本生薬学会とその支部、和漢医薬学会、日本薬学会・日本東洋医学会の指定された学術大会など、日本生薬学会が定めた研修が対象です。

単位の基準や認定の規則は研修認定薬剤師制度に準じており、対象研修には集合研修や学術集会、自己研修などがあります。

取得した単位はPECSで管理し、研修会主催者から単位の交付がなかった場合は自身で単位請求を行ってください。更新時には認定審査料22,000円も必要になります。

更新認定申請は、認定終了日の2か月前から終了日の3か月後までの間に行わなければなりません。
この期間を過ぎると以後の更新申請はできなくなるため、期日の管理が重要です。

なお、妊娠・出産・育児や疾病、介護などやむを得ない事情で単位取得が困難な場合は、届出により単位取得条件の免除や認定期間の延長などの措置を受けられる場合があります。

ここで特に注意したいのが、単位の交付元です。漢方薬・生薬認定薬剤師の更新には日本薬剤師研修センターが交付する単位のみが有効で、他の生涯研修プロバイダーが交付する単位は、漢方薬・生薬に関連する研修内容であっても無効と公式に明記されています。

普段利用している研修サービスの単位がどの機関から交付されるものか、更新計画を立てる前に必ず確認しておきましょう。

薬剤師の継続学習を支える「ためとこ」の活用

漢方薬・生薬認定薬剤師に限らず、薬剤師のキャリアは継続的な学習に支えられています。研修認定薬剤師の取得・更新と並行して漢方の研鑽を積む方も多く、学習をいかに日常に組み込むかが課題になりやすいでしょう。

薬剤師の生涯学習を支援するアプリ「ためとこ」は、研修認定薬剤師の単位取得、認定申請(対象プロバイダー:薬学ゼミナール生涯学習センター(G13))ができるサービスです。

先述のとおり、漢方薬・生薬認定薬剤師の更新に有効なのは日本薬剤師研修センターが交付する単位のみのため、「ためとこ」で取得した単位を漢方薬・生薬認定薬剤師の更新に直接利用することはできません。

一方で、研修認定薬剤師の取得・更新を含む日々の継続学習には、心強い味方になるでしょう。

テキストラーニング(最短5分)、ショート動画(最短10分)、セミナー動画(90分程度)といった講座を、1分学習=1pt・90ptで1単位という仕組みで、スキマ時間に学びを積み重ねられます。「ためとこ」以外で取得した単位も登録できるため、単位管理ツールとしての活用も可能です。

料金は、単位管理・認定申請のみの無料プランのほか、月額プラン990円、10単位プラン14,300円/年、20単位プラン16,500円/年、40単位パック19,800円/年が用意されています。

詳しくは受講の流れ料金プランをご確認ください。

漢方に強い薬剤師への一歩は、日々の学びの積み重ねから始まります。自分に合った学習スタイルを見つけ、計画的にキャリアを築いていきましょう。

【その他参考】

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