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プライマリ・ケア認定薬剤師とは?役割から新規認定・更新まで解説

患者を継続的に支えるには、薬物治療の知識に加え、生活背景や家族との関係を捉え、多職種と連携する力が求められます。こうした力を体系的に磨く選択肢の一つが、プライマリ・ケア認定薬剤師です。

一方、認定までには単位の修得や見学実習、申請、試験があり、認定後も更新が続きます。制度が実務にどうつながるかと、新規認定・更新に必要な要件の両方を理解しておくことが大切です。

新規認定に必要な期間と負担を確認し、自分が深めたい専門性に合う認定かを検討するためにお役立てください。

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プライマリ・ケア認定薬剤師とは

プライマリ・ケア認定薬剤師は、日本プライマリ・ケア連合学会が運営する特定領域認定制度です。薬剤師認定制度認証機構ではP02として認証されており、生涯研修を対象とするG区分よりも、プライマリ・ケアの領域性を明確にした制度に位置づけられます。※1

制度の目的と認定上の位置づけ

プライマリ・ケア認定薬剤師制度の目的は、地域を基盤に行う包括的かつ全人的なプライマリ・ケアについて、薬剤師が知識、技能、態度を修得し、薬剤師の資質向上と国内のプライマリ・ケアの発展につなげることです。所定の研修と単位修得、審査、試験を経て、学会が適当と認めた薬剤師が認定されます。

認定は、特定の業務を独占できることや、報酬上の優遇を保証するものではありません。要綱は、認定された薬剤師の行為の範囲や報酬について、特典や限定を求める制度ではないと明記しています。認定の価値は、プライマリ・ケアに必要な能力を体系的に学び、その到達を示せる点にあります。※2

認定制度の区分を整理したい方は、認定薬剤師の種類と制度ごとの違いを解説した記事もぜひご覧ください。

プライマリ・ケアが対象とする範囲

日本プライマリ・ケア連合学会は、プライマリ・ケアを、健康や福祉に関わる幅広い問題を地域で総合的に解決する実践活動と説明しています。対象は目の前の疾患や処方薬だけではありません。予防、生活習慣、心理面、家族関係、療養環境まで含め、患者を継続的に支える視点が求められます。

薬局であれば、服薬状況だけでなく食事や受診状況、介護サービスの利用状況を確認する場面があります。在宅医療では、患者の生活動線や家族の介護負担も薬物治療の継続に影響します。プライマリ・ケア認定薬剤師の学びは、こうした複数の課題を切り離さずに捉えるためのものです。

※1 出典:日本プライマリ・ケア連合学会「プライマリ・ケア認定薬剤師制度について」(2026年8月3日閲覧)
※2 出典:日本プライマリ・ケア連合学会「プライマリ・ケア認定薬剤師要綱」(2026年8月3日閲覧)

プライマリ・ケア認定薬剤師の役割

プライマリ・ケア認定薬剤師に求められる能力は、個別疾患の薬物治療だけでは説明できません。要綱は、近接性、包括性、継続性、協調性、責任性の5つを機能の基盤とし、問題解決能力も重視しています。※1

患者に近い立場で包括的に支える

近接性、包括性、継続性は、患者が相談しやすい場所で、健康上の課題を広く捉え、経過を追って支える機能です。薬剤師は、処方箋を受け付けた一時点だけでなく、繰り返し来局する患者の変化を確認できます。

たとえば、残薬が増えた患者に服薬方法だけを説明しても、問題が解決しない場合があります。視力低下で薬を判別しにくい、食事回数が変わった、家族の支援が得られなくなったなど、生活上の要因を確認して初めて実行可能な支援を選べます。

患者との距離の近さを、相談の受けやすさだけで終わらせないことが大切です。継続的な変化を記録し、必要に応じて受診勧奨や処方提案、生活支援につなげるところまでが、プライマリ・ケアの視点を生かす場面です。

多職種と協働して課題解決を担う

協調性と責任性は、薬剤師だけで問題を抱え込まず、必要な職種と情報を共有しながら解決まで関わる機能です。日本プライマリ・ケア連合学会には、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、介護職、福祉職などが参加しており、多職種で考え、活動することが制度の背景にあります。

薬物治療上の課題を見つけた場合、薬剤師は医師へ処方内容を照会するだけでなく、看護師の観察情報やケアマネジャーが把握する生活状況も踏まえて対応を検討します。外来から在宅へ療養場所が変わる場面でも、薬剤情報と患者の希望を関係者へつなぐ役割を担えます。

認定名称そのものが役割を生むのではなく、5つの機能を日々の患者対応で実践することが中心です。認定を目指すか迷う場合は、自分の業務で包括的な支援や多職種連携を深めたい場面があるかを確認すると、学ぶ目的が明確になります。

※1 出典:日本プライマリ・ケア連合学会「プライマリ・ケア認定薬剤師要綱」(2026年8月3日閲覧)

プライマリ・ケア認定薬剤師の新規認定の手順

新規認定を申請できるのは、日本国の薬剤師資格を有する方です。研修開始届出書を提出した後、4年以内に所定の研修を修め、申請書類の郵送、書類審査、試験、登録の順に進みます。

研修開始届出書をメールで提出する

プライマリ・ケア認定薬剤師の研修を開始したら、所定の研修開始届出書に記入、押印し、日本プライマリ・ケア連合学会事務局の担当係へメールで提出します。開始届出は随時受け付けられており、新規申請期間中に限られません。※1

4年以内に所定の研修を修める

新規認定では、最初の研修単位を修得してから4年以内に50単位以上を修得します。総数だけでなく、学会関連単位、必須領域、見学実習の内訳を同時に満たさなければなりません。※1※2

確認項目新規認定の要件
研修期間最初の研修単位の修得から4年以内
総単位数50単位以上
└学会関連単位30単位以上
└必須領域A~Jの領域を各2単位、合計20単位
└見学実習原則半日1単位、合計8単位

必須領域は、(A)プライマリ・ケアの知識と役割、(B)コミュニケーションスキル、(C)服薬指導、(D)薬物治療、(E)生活習慣指導、(F)メンタルケア、(G)在宅ケア、(H)セルフメディケーション、(I)地域活動、(J)地域連携とチーム医療の10領域です。

見学実習8単位は、講義やeラーニングとは別に必要です。学会の認定医、専門医、指導医による外来診療や訪問診療などが実習先となるため、単位修得の終盤に残さず、受入先情報の申込方法を早めに確認しておく必要があります。

単位台帳と申請書類を郵送する

取得した受講証は、研修認定単位台帳に貼付して管理します。2026年度の新規申請書類は次の8点です。※1

  • 新規認定審査申請書
  • 研修認定単位台帳
  • 必須領域受講報告書
  • 必須見学実習修了(見込み)報告書
  • 認定試験用履歴書
  • 薬剤師免許証のコピー
  • 審査料の払込金受領証の写し
  • 認定申請チェックリスト

申請受付は年1回で、原則として7月1日から7月31日までです。2026年度も同じ日程ですが、提出様式や受付方法は申請する年度の手引きで確認します。※1

書類審査と筆記試験を受ける

新規認定は、書類審査と試験の両方で審査されます。試験概要では、選択式問題10問から15問と筆記試験問題3問が予定され、先述の10領域や前年度の認定薬剤師研修会、学会推奨図書などが出題範囲として示されています。※3

2026年度の審査料は非会員15,000円、学会員10,000円です。合格後は登録料10,000円を納付し、入金確認後に認定証が発行されます。※1研修の受講だけで認定されるわけではなく、書類と試験の双方を通過する必要があります。

※1 出典:日本プライマリ・ケア連合学会「2026年度の新規申請手引き」(2026年8月3日閲覧)
※2 出典:日本プライマリ・ケア連合学会「プライマリ・ケア認定薬剤師要綱 細則」(2026年8月3日閲覧)
※3 出典:日本プライマリ・ケア連合学会「プライマリ・ケア認定薬剤師試験概要について」(2026年8月3日閲覧)

プライマリ・ケア認定薬剤師の単位管理の注意点

プライマリ・ケア認定薬剤師の単位は、合計数だけでは判定できません。研修が学会の指定対象か、eラーニングの上限内か、同じ受講証を別の申請に使っていないかを確認する必要があります。

他制度の単位は指定研修か確認する

薬剤師認定制度認証機構が認証した別制度の研修であっても、すべての単位がP02の申請に使えるわけではありません。日本プライマリ・ケア連合学会が指定した講演、講義、シンポジウム、ワークショップ、eラーニングであることが条件です。

指定された他制度の研修単位は、新規認定では20単位、更新では10単位が上限です。受講前に学会の認定単位一覧や指定講座を確認し、講座名、開催日、単位数、必須領域の指定を記録すると、申請時の照合がしやすくなります。※1

eラーニングの単位上限を確認する

学会主催と学会指定のeラーニングは、新規認定、更新とも合計15単位が上限です。学会のeラーニングを受講するには、日本プライマリ・ケア連合学会の会員番号が必要です。※1※2

eラーニングだけで50単位をそろえることはできず、新規認定では見学実習8単位も別に必要です。通勤時間などにeラーニングを進める場合も、対面研修や実習を含めた内訳を台帳で分けて管理しましょう。

受講証を重複使用しないよう管理する

1枚の受講証を必須領域に使用できるのは原則1領域です。学会が特例指定した受講証に限り、1枚で2領域まで使用できます。また、別の認定申請で使った受講証や、新規認定で使った受講証を次回更新へ重複して使うことはできません。※2

受講証には、使用する申請と必須領域を対応づけて記録します。単位台帳へ貼付する前に、受講日、講座名、発行元、P02での単位数、必須領域、他の申請への使用有無を一覧化すると、重複使用や領域不足を防げます。

※1 出典:日本プライマリ・ケア連合学会「プライマリ・ケア認定薬剤師要綱」(2026年8月3日閲覧)
※2 出典:日本プライマリ・ケア連合学会「2026年度の新規申請手引き」(2026年8月3日閲覧)

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プライマリ・ケア認定薬剤師の更新要件

プライマリ・ケア認定薬剤師は3年ごとに更新します。更新では、3年間の研修単位、必須5領域、5事例の報告をそろえて申請し、新規認定時の筆記試験ではなく書類審査を受けます。

3年間で30単位以上を修める

更新では、認定日または前回更新日から申請までの3年間に、各年5単位以上、合計30単位以上を修得します。合計30単位のうち、学会主催研修会と学会関連の指定講座による単位が20単位以上必要です。※1

3年間の合計が30単位を超えていても、いずれかの年が5単位未満なら要件を満たしません。年度ごとの小計、学会関連単位、指定された他制度の単位、eラーニング単位を分けて確認する必要があります。

必須5領域で10単位を修める

更新時の必須領域は、(D)プライマリ・ケアにおける薬物治療、(E)生活習慣指導、(F)メンタルケア、(G)在宅ケア、(I)地域活動の5領域です。各領域2単位、合計10単位を修得します。※2

更新では新規認定時のAからJすべてを取り直すのではありません。受講証に記載された領域を確認し、5領域のうち未修得の領域を早い段階で特定すると、更新直前に対象講座が見つからない事態を避けやすくなります。

認定更新時に5事例を提出する

認定更新では、活動報告を含む5事例を学会所定の書式で提出します。同一患者の事例は避け、複数の薬剤師で担当した事例でも、他の薬剤師が作成した報告をそのまま使用することはできません。※2

細則は、珍しい症例である必要はなく、日常的な事例を歓迎するとしています。症例の希少性よりも、患者の課題をどう把握し、薬剤師としてどのように関わったかを自分の記録から説明できることが大切です。

期日までに更新できない特段の事情がある場合は、更新保留を申請できます。保留は1回につき1年間で、継続する場合は毎年再申請が必要です。連続して申請できるのは3年間までで、保留期間中はプライマリ・ケア認定薬剤師を呼称できません。※3

※1 出典:日本プライマリ・ケア連合学会「プライマリ・ケア認定薬剤師要綱」(2026年8月3日閲覧)
※2 出典:日本プライマリ・ケア連合学会「プライマリ・ケア認定薬剤師要綱 細則」(2026年8月3日閲覧)
※3 出典:日本プライマリ・ケア連合学会「認定更新保留申請書」(2026年8月3日閲覧)

プライマリ・ケア認定薬剤師を目指す方へ

プライマリ・ケア認定薬剤師を目指すかどうかは、実務で深めたい能力と申請までの負担を照らし合わせて判断します。必要な研修と見学実習を修了し、申請と試験まで進められるか、認定後も更新を継続できるかを確認します。

確認すること判断材料
学ぶ目的患者を生活背景まで含めて支援し、多職種との協働を深めたいか
新規認定までの負担研修単位、必須領域、見学実習を仕事と両立し、申請と試験まで進められるか
認定後の継続継続研修の単位と事例報告を管理できるか
制度への期待業務範囲や報酬の保証ではなく、能力を体系的に修得し示す制度だと理解しているか

勤務予定へ研修日、見学実習、申請準備の時間を当てはめると、継続可能かを具体的に判断できます。見学実習は独立した要件のため、受入先への申込みを含めて予定を確認する必要があります。

プライマリ・ケア認定薬剤師のよくある質問

試験の難易度、学会員の要否、ためとこの単位の扱いについて、申請前に確認したい点を整理します。

プライマリ・ケア認定薬剤師の試験は難しいですか?

試験の難易度を一律に示すことはできません。公開されている試験概要では、選択式問題と筆記試験問題の両方が予定され、AからJの出題領域と参考図書が示されています。※1

研修会の内容を復習するだけでなく、事前提示例題を確認し、プライマリ・ケアの知識を患者対応へどう適用するかを文章で説明する練習が必要です。出題数や実施方法は変更される可能性があるため、受験年度の申請手引きも確認します。

学会員でなくても新規申請できますか?

日本国の薬剤師資格を有し、所定の要件を満たせば、非学会員も新規申請できます。審査料は会員と非会員で異なり、学会主催のeラーニング受講には会員番号が必要です。申請年度の料金と利用する研修方法を確認して入会を判断します。※2

ためとこの単位は申請に使えますか?

ためとこのe-ラーニングで取得する一般的な研修単位は、生涯研修認定制度の単位です。P02のプライマリ・ケア認定薬剤師へ、そのまま使用する単位ではありません。

P02で他制度の研修単位が認められるのは、日本プライマリ・ケア連合学会が指定した研修に限られます。プロバイダーの認証だけで判断せず、受講する講座がP02の指定講座として掲載されているかを確認してください。※3※4

※1 出典:日本プライマリ・ケア連合学会「プライマリ・ケア認定薬剤師試験概要について」(2026年8月3日閲覧)
※2 出典:日本プライマリ・ケア連合学会「2026年度の新規申請手引き」(2026年8月3日閲覧)
※3 出典:日本プライマリ・ケア連合学会「認定単位一覧・指定講座」(2026年8月3日閲覧)
※4 出典:薬剤師認定制度認証機構「認証機構により認証された認定制度リスト」(2026年8月3日閲覧)

まとめ

プライマリ・ケア認定薬剤師は、患者を生活背景まで含めて継続的に支え、多職種と協働して課題を解決する能力を体系的に学ぶ認定制度です。新規認定では研修単位、必須領域、見学実習、書類審査、試験があり、認定後も継続研修と事例報告による更新が求められます。

認定を目指す場合は、最新の新規申請手引きと認定単位一覧を確認し、研修開始届出書を提出します。患者支援で深めたい役割と研修内容を対応させ、認定後も実務へ生かせる学びを選びましょう。

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