「読む」から「身につく」へ――『今日の治療薬』×『ためとこ』コラボ企画誕生秘話と制作者が語る「新しい学びのかたち」
2026.04.01

医療従事者に長年支持され続けている『今日の治療薬』。1977年の初版発行以来、毎年改訂を重ね、毎年改訂を重ねるロングセラー医療用医薬品情報集です。
この度、『今日の治療薬』と『ためとこ』の初コラボレーションが実現。「書籍を読んで確認テストに挑戦すると、研修認定薬剤師の単位取得ができる」という新サービスを開発し、2026年1月よりスタートしました。
『ためとこ』は、『今日の治療薬WEB』の販売に携わり、さらに確認テストの制作担当者である株式会社南江堂の営業部 電子コンテンツ販売課・関田啓佑氏に、コラボ企画誕生の背景から、制作秘話、また今後の展望について詳しくお話を伺いました。
目次
きっかけは現場の薬剤師のひと言
今回のコラボ企画の出発点は、意外にも現場の薬剤師の何気ないひと言だったと言います。
「実は、『今日の治療薬WEB』をご利用いただいていた大手チェーン薬局の薬剤師から、初めて『ためとこ』の名前を聞き、『コラボしたら面白いんじゃない?』とお話しいただいたのが今回の企画のきっかけなんです」と関田氏。
常々、さらに多くの医療従事者にアプローチしたいという思いを持っていた関田氏。このアドバイスを編集スタッフに話すと、ポジティブな反応が多かったと言います。
さらに関田氏の記憶の中には、かつて編集スタッフと議論した「『今日の治療薬』をもとにした検定試験」という構想も浮かんでいたそうです。
「当時は実現できませんでしたが、今回のコラボで『あの時のアイデアが形になる!』というワクワク感がありました」と話します。
『今日の治療薬』が支持され続ける理由
初版以来、編集スタッフが大切にしてきたのは、『正確性』と『網羅性』。「一見当たり前に思えるこの価値を、当たり前に守り続けることこそが難しい」と関田氏は語ります。加えて、医療従事者へのヒアリングを積極的に行い、医療現場から集まる声、取材で得た気づきなど、情報はすべて編集スタッフに集約し、改訂や新たな企画に取り入れるサイクルができつつあると言います。
また、多くの医療従事者から高い評価を得ているという「見やすいレイアウト」も、同書の特長の1つですが、実は初版からこのレイアウトはほとんど変わっていないそう。他にも、持ち運びのストレスを軽減するため実用的かつ極限まで薄い紙を採用する、文字サイズを変えずに情報量を最適化するなど、読者には見えない改良が積み重ねられてきました。
こうした読者ファーストの姿勢こそが、幅広いファンを持つ大きな理由になっています。
制作の裏側-336問に込められた試行錯誤
今回のコラボにおける最大の特長は、「書籍を使って学び、確認テストでその理解度を判定し、合格すれば単位につながる」というもの。制作は、以前に『今日の治療薬』の編集者、執筆者としても名を連ねていた薬剤師の北村正樹氏とともに、全体の構成や問題数、ポイント設計などを、ひとつひとつ検討しながら進めたそうです。そして、実際の作問は北村氏が行い、できあがった問題に対して書籍を読み、実際に解けるかどうかを関田氏が確認するという作業を繰り返し、制作を進めたと言います。
しかし、コンパクトな書籍であるがゆえの苦労もあったそうです。
「例えばリウマチは、免疫疾患だけでなく腫瘍や皮膚疾患にも関係しますよね。そのため、場合によっては1つの章の中だけで完結しない問題も出てきてしまいます。そうした場合、どこまで出題範囲を広げるべきか、何度も議論しました」
こうした試行錯誤を繰り返しながらも、「読めば必ず解ける」ということを徹底的に検証しながら制作を進め、最終的に全336の問題が完成しました。
コラボ企画を通じて感じた『ためとこ』の魅力とは
今回のコラボを通じ、関田氏が特に印象的に感じたのは、『ためとこ』の学習スタイルだったと言います。
「スマホ1つで学習し、単位まで取得できるのはとても便利だと思います。また、じっくり学習できる時間が確保できなくても、移動時間や休憩中などのスキマ時間にも学習でき、それを単位として積み重ねていける点はとても魅力的です」
さらに、ポイント制(※)というシステムは、問題を制作する立場から見ても大きなメリットだったと言います。
「ポイント制という画期的なしくみのおかげで、1問=1単位ではできない、より深い問題設計ができたと思います。制作担当者としては『やりたいことが全部できた!』という達成感があります」
こうした制作側の工夫や努力は、受講者の学び方そのものを広げる挑戦でもあったと言えます。
(※)ポイント制とは、『ためとこ』の講座に紐づいているポイント数のことで、講座を受講しテストを受けることでポイントがたまるしくみです。ポイント数は講座ごとに異なり、90ポイントためると1単位に変換することができます。詳細は、「よくある質問」の「e-Learningポイントについて」をご参照ください。
『ためとこ』ユーザーに提供したい価値とは
実際の医療現場では複数の疾患を抱える患者も多く、チーム医療の中で薬剤師が活躍するためには、薬剤に関する幅広い知識と患者背景への理解が求められます。
「薬局では普段なかなか取り扱う機会のない薬剤を知ることも、患者背景の理解につながると思います。だからこそ、確認テストにどんどんチャレンジしてほしいと思います。そして、今回のコラボを通じ、薬剤のプロとして基礎力のさらなる向上につながればうれしく思います」
また関田氏は、『ためとこ』ユーザーの方々に注目してほしいポイントがあると言います。
「選択肢が“正しいもの”を選ぶのではなく、“誤っているもの”を選ぶ問題を多くしました。これは意図的に設計したのですが、間違っているかどうかを判別するためにも『隅々まで読み込んでほしい』という想いを込めています」
また、「書籍を読むだけでは気づけない理解の抜けを、“問題を解くこと”で実感し、新たな理解へとつなげることも、本企画の大きな価値の1つでもあり、多くのユーザーに活用してほしいポイントなんです」と関田氏は語ります。
AI時代における情報収集の進化-『今日の治療薬』が果たす役割
「私が入社した頃、『医学専用の検索エンジンがあれば便利なのに』と思っていましたが、AI時代の到来により、その実現は近づいてきたように感じています」と関田氏。
書籍としてスタートした『今日の治療薬』は、アプリ版やWEB版へと広がり、利用者は増え続けています。そして「今後、AIは競合するものではなく共存すべきもの」と関田氏は話します。
「AIで欲しい情報のありかを探し、その情報源にさかのぼって学ぶという時代が来るかもしれません。ただし、あらゆる情報源を参照するAIには、ハルシネーション(AIが事実と異なる情報をもっともらしく生成すること)という大きな課題があります。それらをカバーできるのは、確かな編集のなされた信頼できる情報源なのです」
薬剤師へのメッセージ
「『ためとこ』とのコラボによって、書籍で単位が取得できるようになったことは画期的だと感じています。このコラボを通じ、薬剤師のみなさんに少しでも日々の学習に役立ててもらえればうれしいです。また、忙しい薬剤師のみなさんは、まとまった学習時間が取れないこともあると思いますが、『今日の治療薬』と『ためとこ』のコラボは、日々の業務に役立つ最新情報を得られ、かつスキマ時間で単位を少しずつ取れることから、非常に効率の良い組み合わせです。日常業務のかたわら、日々の『相棒』として活用してほしいです」

薬剤師の生涯学習を支援するための単位管理アプリです。
最短5分から学習できるコンテンツのほか、
研修認定薬剤師の取得済み単位シールや、
単位証明書の登録による、便利な単位管理システムも備えています。
詳しくはこちら!
