コラム

虚血性心疾患とは?狭心症・心筋梗塞の病態と危険因子、予防のポイントを整理する

虚血性心疾患は、動脈硬化によって心臓の血管が狭くなったり詰まったりすることで発症する疾患群で、狭心症や心筋梗塞が代表的です。喫煙や脂質異常症、高血圧、メタボリックシンドロームなどが主な危険因子とされます。

本記事では、それぞれの病態の違いや症状、治療の概要に加え、発症予防につながる生活習慣管理のポイントについて解説します。薬剤師として患者指導に役立てたい基礎知識を整理します。

※本記事は、「健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~」(厚生労働省)を出典としています。

狭心症・心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)

喫煙やLDLコレステロールの高値、高血圧、メタボリックシンドロームなどにより心臓の血管の動脈硬化が進行すると、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患を引き起こしやすくなります。

虚血性心疾患とは

虚血性心疾患には、狭心症や心筋梗塞があります。

狭心症は動脈硬化などによって心臓の血管(冠動脈)が狭くなり、血液の流れが悪くなった状態です。主に歩行などの動作をしているときに、胸を圧迫されるような痛みの発作が繰り返し起こり、数分以内におさまります。発作が起きたときには、冠状動脈を拡張する作用を持つニトログリセリンを舌下服用するとおさまります。

狭心症はなんらかの動作中に起こることが多いのですが、安静時に冠動脈のけいれんが起こり、狭心症の発作が起こる場合もあります(冠攣縮性狭心症)。

一方、心筋梗塞は、動脈硬化によって心臓の血管に血栓(血液の固まり)ができて血管が詰まり、血液が流れなくなって心筋の細胞が壊れてしまう病気です。胸に激痛の発作が起こり、呼吸困難、激しい脈の乱れ、吐き気、冷や汗や顔面蒼白といった症状を伴うことがあります。痛みは20分から数時間にわたることもあります。激痛は胸だけでなく、胃のあたりや腕、肩などにも起こることがあり、これを放散痛と言います。心臓の血管が一瞬で詰まると、突然死することもあります。

狭心症や心筋梗塞が疑われる場合、心臓カテーテル検査を行って、狭くなっているところや詰まっているところを見つけ、その部位で風船を膨らませて血管を拡張させるPTCA(経皮的冠動脈形成術)や、さらにその部位にステントという器具を入れて固定する治療がよく行われます。また、冠動脈バイパス手術が行われる場合もあります。

虚血性心疾患の予防

虚血性心疾患の3大危険因子は、喫煙・脂質異常症(LDLコレステロールの高値)・高血圧です。またメタボリックシンドロームも危険因子の一つです。

健康診断でこれらを早めに見つけることが重要です。生活習慣では、喫煙のほか、動物性の油に多く含まれる飽和脂肪酸のとりすぎ、お酒の飲み過ぎ、食塩のとりすぎ、運動不足、ストレスが虚血性心疾患のリスクを高くします。一方、魚や野菜、大豆製品には、虚血性心疾患を予防する働きがあります。

(最終更新日:2025年10月15日)

山岸 良匡(やまぎし・かずまさ)
順天堂大学大学院医学研究科 公衆衛生学 教授

茨城県出身。2000年筑波大学医学専門学群(現・医学類)卒業、03年筑波大学大学院博士課程修了。医師、博士(医学)、社会医学系専門医・指導医。筑波大学講師、准教授、ミネソタ大学客員講師などを経て、19年より筑波大学医学医療系社会健康医学教授。2024年より現職。循環器疾患などの生活習慣病の予防実践と疫学研究が専門。
●出典
「狭心症・心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)」健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~(厚生労働省)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-005

薬剤師の生涯学習を支援するための単位管理アプリです。
最短5分から学習できるコンテンツのほか、
研修認定薬剤師の取得済み単位シールや、
単位証明書の登録による、便利な単位管理システムも備えています。

詳しくはこちら

新着コラム