よくある質問
コラム

退院時共同指導料とは 薬局の算定要件と点数を実務向けに詳しく解説

退院時共同指導料は、病院から退院前カンファレンスへの参加を依頼された薬局が算定できる薬学管理料です。ただし、参加した事実だけでは算定できません。

対象患者、退院先、文書提供、薬剤服用歴への記録、レセプト上の扱いまで、要件を一つずつ確認する必要があります。

この記事では、薬局が算定する退院時共同指導料について、令和8年度の調剤報酬点数表と通知に沿って整理します。病院への確認項目と薬局内で残す記録まで扱います。

た め と こ
薬剤師の生涯学習支援
eラーニングアプリ
研修認定薬剤師
制度対応
受講は
最短5分から
便利な
単位管理機能

退院時共同指導料とは

退院時共同指導料は、入院中の患者が退院後に在宅療養へ移る場面で、薬局薬剤師の関与を評価する薬学管理料です。

薬局が退院前から多職種と連携し、薬剤に関する説明や指導を行ったうえで文書により情報提供することが、制度の中心にあります。

薬局が算定する点数は600点

退院時共同指導料を請求する前に、薬局側の点数を確認しましょう。医科側にも似た名称の評価があるため、算定主体を分けて考える必要があります※1

令和8年度の調剤報酬点数表では、薬局が算定する退院時共同指導料は600点です。

厚生労働省の令和8年度版の調剤報酬点数表では、点数だけでなく算定要件も示されています。入院中の患者、退院後の訪問薬剤管理指導を担う患者指定の保険薬局、患者または家族等の同意、多職種との共同指導、文書による情報提供が読み取れます※1

点数は改定で変わる可能性があるため、本文作成時点では令和8年度の告示を根拠にしています。実務で請求する際は、最新の点数表と留意事項通知を確認しましょう。

医科の退院時共同指導料1・2、訪問看護の加算との違い

この記事で扱う退院時共同指導料は、調剤報酬における保険薬局側の評価です。医科の退院時共同指導料や、訪問看護の退院時共同指導加算とは、算定主体も制度上の区分も異なります。

医科には、退院時共同指導料1や退院時共同指導料2という診療報酬上の評価があります。これらは病院や診療所など医科側の診療報酬であり、薬局が調剤報酬として算定するものとは別の制度です。

退院時共同指導では多くの職種が関わるため、病院側のカンファレンスに参加した事実だけで、薬局側の退院時共同指導料が自動的に算定できるわけではありません。薬局として、患者の指定、共同指導、文書提供、記録の要件を満たしているかを確認する必要があります。

混同を避けるには、まず「誰が算定する評価か」を分けて考えます。

名称制度区分算定する側
退院時共同指導料調剤報酬保険薬局
退院時共同指導料1・2診療報酬病院や診療所など医科の保険医療機関
退院時共同指導加算医療保険/介護保険訪問看護など

退院支援で薬局薬剤師が担う情報連携

退院時共同指導では、退院後の服薬継続に必要な情報を、病院の医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、リハビリ職、社会福祉士などと共有します。

薬局薬剤師は、処方内容を確認するだけでなく、退院後の生活環境、服薬管理の担い手、残薬や副作用歴、在宅で起こりうる服薬上の困りごとを見通す役割を持ちます。病院と薬局の情報共有は、薬薬連携の記事で整理しています。

※1 出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する告示 別表第三 調剤報酬点数表」(2026年7月24日閲覧)

退院時共同指導料の算定要件

退院時共同指導料は、退院前の打ち合わせに参加しただけでは算定できません。対象患者と実施内容、文書提供、記録までを一連の要件として確認する必要があります。

要件の中心は、退院後に在宅で療養する患者に対して、患者が指定する薬局の薬剤師が共同指導を行うという点です。

対象は退院後に在宅療養へ移る患者

対象となるのは、退院後に在宅で療養を行う患者です※1。退院後に在宅療養へ移らない患者の扱いは、後述の算定できないケースで整理します。

ここでいう在宅療養は、退院後の訪問薬剤管理指導につながる患者かどうかを確認する場面で問題になります。

患者または家族等の同意と多職種による共同指導

共同指導は、患者または家族等の同意を得て行います。薬局薬剤師だけで完結する指導ではなく、入院中の保険医療機関の保険医、看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士などと共同して行うことが前提です※1

実務では、カンファレンスの参加者、患者の同意の取り方、薬局が退院後の訪問薬剤管理指導を担う位置づけにあるかを事前に確認しておきます。共同指導の場で薬剤に関する説明や指導を行ったことが、後の記録にもつながります。

文書提供と薬剤服用歴への記録

退院時共同指導料では、共同指導を行ったうえで、文書により情報提供することが求められます。さらに、薬剤服用歴等には、入院保険医療機関で行った服薬指導等の要点を記載します。

患者または家族等に提供した文書の写しを薬剤服用歴等に添付することも通知に示されています※1。独自のメモだけでなく、通知が求める薬歴記載と写し添付をそろえましょう。

退院後の在宅対応や薬歴記録の考え方は、下記の記事で整理しています。

オンラインで共同指導を行う場合の追加確認

退院時共同指導料は、ビデオ通話が可能な機器を用いた共同指導でも算定可能です※1。ただし、オンラインで行う場合は、対面時とは別に個人情報と医療情報システムの扱いを確認する必要があります。

通知では、ビデオ通話の画面上で患者の個人情報を共有する際は、患者の同意を得ていることが求められています※1。オンライン会議では、画面共有や資料表示によって患者情報が見える場面があるためです。

同意の取得方法そのものを通知が細かく指定しているわけではありませんが、薬局としては、誰が、いつ、どの範囲の情報共有に同意したかを後から確認できる形にしておくとよいでしょう。

保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通ネットワーク上の端末でカンファレンスを実施する場合、厚生労働省の医療情報システムの安全管理に関するガイドラインへの対応が求められます※1※2

薬局側では、使用する端末、ネットワーク、接続方法、画面共有の範囲、参加者の確認を事前に整理しておきましょう。オンラインで参加する場合も、共同指導の前に情報管理の確認を済ませておきます。

※1 出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 保医発0305第4号 別添3 調剤報酬点数表に関する事項」(2026年7月24日閲覧)
※2 出典:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版 令和8年6月」(2026年7月24日閲覧)

退院時共同指導料を算定できないケース

退院時共同指導料では、対象外となるケースも通知で示されています。算定可否に迷ったときは、まず退院後の療養場所と薬局側の算定可否の確認が必要です。

退院後に在宅療養へ移らない場合や、特別調剤基本料Bを算定する保険薬局では対象外です。対象外の条件は、患者側の退院先と薬局側の算定区分に分かれます。

確認する側条件算定可否
患者退院後に在宅で療養する算定できる
患者他の保険医療機関へ入院する、または社会福祉施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設へ入所する算定できない
患者死亡退院となった算定できない
薬局特別調剤基本料Bを算定している算定できない

他の医療機関へ入院・施設へ入所する場合

退院後に別の保険医療機関へ入院する場合は、退院後在宅で療養する患者に該当しません。社会福祉施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設へ入所する場合も、通知上は対象外とされています※1

カンファレンスの時点では在宅予定でも、退院先が変更になることがあります。請求前には、最終的な退院先を病院側に確認しておくと判断のぶれを減らせます。

死亡退院となった患者

死亡退院した患者も、退院後在宅での療養を行う患者には該当しません。通知では対象外として整理されています※1

実務上は、共同指導後に患者状態が急変する可能性もあります。その場合は、通知で確認できる対象外の範囲に該当しないかを請求前に確認しましょう。

特別調剤基本料Bを算定する保険薬局

退院時共同指導料は、特別調剤基本料Bを算定している保険薬局では算定できません。令和8年度の留意事項通知でも、この点は明記されています※1

薬局側の体制や調剤基本料の区分は、患者ごとの状態とは別の確認事項です。退院前カンファレンスに参加する前に、自局が算定できる区分かどうかも確認しておきましょう。

※1 出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 保医発0305第4号 別添3 調剤報酬点数表に関する事項」(2026年7月24日閲覧)

退院時共同指導料を2回算定できる条件

退院時共同指導料は、原則として当該入院中1回に限り算定します。ただし、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者では、当該入院中2回まで算定できます※1

2回算定は例外規定です。カンファレンスが複数回あったことだけで2回算定できるわけではないため、対象疾病等への該当確認が必要です。

2回算定の対象となる疾病・医療管理状態

告示では、退院時共同指導料を2回算定できる疾病等の患者として、末期の悪性腫瘍の患者が示されています。ただし、在宅がん医療総合診療料を算定している患者は除かれます※2

また、在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅人工呼吸指導管理などを受けている状態で、さらにドレーンチューブや留置カテーテルを使用している場合、または人工肛門や人工膀胱を設置している場合も対象に含まれます※2

  • 末期の悪性腫瘍の患者
  • 特定の在宅療養指導管理を受け、ドレーンチューブまたは留置カテーテルを使用している状態
  • 特定の在宅療養指導管理を受け、人工肛門または人工膀胱を設置している状態
  • 在宅療養中で高度な指導管理を必要とする患者

該当しそうな患者では、退院前カンファレンスの依頼時点で病院側に患者状態を確認しましょう。薬局側の判断だけで2回算定の対象とは決めず、病院側の情報と記録を照合しておきます。

1回算定と2回算定を分ける確認点

1回算定と2回算定を分けるときは、同一入院中の何回目かだけでなく、2回まで算定できる患者に該当するかの確認が必要です。

薬局内では、2回目の共同指導で何を確認し、どのような指導を行い、どの文書を提供したかを追える状態にしておくとよいでしょう。2回算定する場合は、対象疾病等への該当が確認できる情報も記録しておきます。算定回数は、患者状態と記録の両方から判断する必要があります。

※1 出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する告示 別表第三 調剤報酬点数表」(2026年7月24日閲覧)
※2 出典:厚生労働省「特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件」(2026年7月24日閲覧)

最新の在宅医療の知識
ためとこで学習できます
最短5分から受講できるコンテンツを随時更新中
コンテンツをみる

算定前後の確認手順と記録の残し方

退院時共同指導料は、制度要件だけでなく、実際の連携前後に確認する項目で算定可否が変わります。病院への確認と薬局内の記録を分けて整理しておくと、請求前の確認がしやすくなります。

退院前、共同指導当日、請求前の3段階で確認すると、算定漏れや要件の見落としを減らせます。

タイミング確認する内容確認先
退院前退院後の療養場所、自局が指定されているか、参加職種、2回算定の該当可能性病院
共同指導当日患者または家族等の同意、実施日と参加者、薬剤に関する説明や指導の内容病院、患者または家族等
請求前薬剤服用歴等への要点記載、提供文書の写し、最終的な退院先、摘要欄の記載薬局内、病院、審査支払機関

退院前に病院へ確認する項目

病院から退院前カンファレンスの相談が来たら、まず患者が退院後の訪問薬剤管理指導を担う薬局として自局を指定しているかを確認しましょう。ここが曖昧なまま参加すると、算定要件の前提が揺らぎます。

  • 退院後の療養場所が在宅か
  • 患者が退院後の訪問薬剤管理指導を担う薬局として自局を指定しているか
  • 共同指導に参加する職種は誰か
  • 2回算定の対象疾病等に該当する可能性があるか
  • 患者または家族等への文書提供先はどこか
  • オンライン実施の場合、個人情報共有と接続環境の確認は済んでいるか

病院側へ確認する内容は、単なる事務連絡ではありません。後から薬局側で算定根拠を説明するための記録になります。

共同指導後に薬局内で整える記録

共同指導後は、当日のやり取りを薬局内で再確認しましょう。薬剤服用歴等への要点記載、患者や家族への説明内容、提供文書の写し、オンライン実施時の同意や接続環境の確認を、同じ患者記録の流れで追える形にしておきます。

請求前には、レセプト摘要欄だけでなく、薬剤服用歴等への記載、提供文書の写し、患者同意、病院側との共同指導の事実をセットで確認しましょう。どれか一つだけ整っていても、全体の要件確認としては不十分です。

  • 患者または家族等の同意を確認したか
  • 共同指導の参加者と実施日を確認したか
  • 薬剤に関する説明や指導の要点を薬剤服用歴等に記載したか
  • 提供した文書の写しを薬剤服用歴等に添付したか
  • 2回算定の場合、対象疾病等への該当を確認したか

退院支援では、共同指導で得た情報を退院後の訪問対応に引き継ぎます。退院後の在宅療養が始まった後も、服薬状況、副作用、残薬、介護者の理解度を継続して確認することで、共同指導の内容を実際の支援に反映できます。

レセプト摘要欄の扱いと確認先

レセプト摘要欄は、実務上気になりやすい部分です。ただし、摘要欄だけで算定要件を満たすわけではありません。

退院時共同指導料では、薬剤服用歴等への要点記載と提供文書の写し添付を中心に、算定根拠を追える状態を作る必要があります。

摘要欄の具体的な記載方法は、審査支払機関の取扱いや最新通知で確認が必要です。そのうえで、算定根拠を追える情報としては、共同指導の実施日、共同した職種、指導内容、文書提供の事実などが考えられます。固定の記載例として扱わず、請求時に根拠を説明できる情報を整理しておきます。

摘要欄の扱いは地域や審査上の運用に左右されることがあります。迷う場合は、地方厚生局や審査支払機関、最新の疑義解釈を確認しましょう。

退院時共同指導料のよくある質問

退院時共同指導料は何点ですか?

薬局が算定する退院時共同指導料は600点です。医科側の退院時共同指導料とは算定主体、点数が異なります。

退院時共同指導料は2回算定できますか?

原則は当該入院中1回です。ただし、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者では、当該入院中2回まで算定できます。2回算定は例外のため、単に共同指導を複数回行っただけではなく、対象疾病等への該当確認が必要です。

退院時共同指導料の算定は要件確認と記録の整備が前提

退院時共同指導料は、退院後に在宅療養へ移る患者に薬局が関わる場面を評価するものです。患者が指定する保険薬局の薬剤師が多職種と共同指導し、文書提供と薬剤服用歴等への記録を整えた場合に算定します。

確認する項目は、対象患者、退院先、患者同意、共同した職種、文書提供、薬歴記録、2回算定の対象疾病等、オンライン実施時の安全管理です。個別事例や審査上の扱いで迷う場合は、最新の告示、留意事項通知、地方厚生局、審査支払機関を確認しましょう。

退院支援や在宅薬学では、制度要件に加えて、患者状態に応じた服薬支援の判断も求められます。日々の学びを続けたい方は、在宅医療の知識を学べる選択肢の一つとして、ためとこを活用してみてはいかがでしょうか。

た め と こ
日々の学びを、
認定取得につなげませんか?
「ためとこ」は研修認定薬剤師制度対応の
eラーニングアプリです
最短5分で受講
スキマ時間に学習
単位管理
取得済み単位を記録
単位証明書登録
更新手続きをサポート
まずは無料プランから
お気軽にお試しください。

新着コラム