コラム

感染制御認定薬剤師とは?|取得要件・試験・更新条件をわかりやすく解説

感染領域に関わる機会が増えると「感染制御認定薬剤師の取得を目指したい」と考える薬剤師もいるでしょう。

しかし、「どのような資格なのか」「取得にはどれくらいの実務経験や単位が必要なのか」「研修認定薬剤師とは何が違うのか」など、全体像が分からず悩んでいる方も少なくありません。

この記事では、感染制御認定薬剤師の役割や取得要件、認定試験の流れ、更新条件、他の認定制度との違いをわかりやすく解説します。

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執筆者
佐藤 美柚
薬剤師ライター 佐藤 美柚
総合病院門前の薬局で勤務中(7年目)。研修認定薬剤師、NR・サプリメントアドバイザーの資格を取得。 在宅や学校薬剤師など幅広く活動しています!
2児のママ薬剤師をしながら、医療ライターとしてさまざまな記事を執筆しています。
編集
株式会社医学アカデミー

感染制御認定薬剤師とは?

感染制御認定薬剤師は、日本病院薬剤師会(日病薬)が認める感染領域の専門資格です。

この資格は、感染対策や抗菌薬適正使用に関する専門知識と実践能力を持ち、医療機関の感染制御活動に貢献できる薬剤師を認定することを目的としています。

一般的な生涯学習認定とは異なり、感染領域に特化した専門資格であるため、取得には一定期間の実務経験や研修実績、認定試験への合格が求められます。

感染制御認定薬剤師の役割

感染制御認定薬剤師の主な役割は、院内感染の防止と抗菌薬の適正使用を推進することです。

具体的には、感染制御チーム(ICT)や抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の活動に参加し、感染症治療や感染対策に関する薬学的な視点から提案を行います。

また、重要な役割として、院内ラウンドへの参加、薬物血中濃度モニタリング(TDM)への関与、感染対策マニュアルや抗菌薬使用ガイドラインの作成、サーベイランス業務への協力などがあります。

医師や看護師など多職種と連携しながら、感染症診療の質向上と医療安全に貢献することが期待されています。

感染制御専門薬剤師との違い

感染制御認定薬剤師の上位資格として、感染制御専門薬剤師があります。

感染制御専門薬剤師は、感染領域においてより高度な知識・技術を有し、研究や教育活動でも実績を持つ薬剤師を対象とした資格です。

学会発表や論文発表なども求められるため、認定薬剤師より取得難易度は高くなります。

そのため、まず感染制御認定薬剤師として実務経験と専門性を積み重ね、その先のキャリアとして感染制御専門薬剤師を目指すケースが一般的です。

感染制御認定薬剤師の申請要件

感染制御認定薬剤師を取得するには、複数の要件を満たしたうえで認定試験に合格する必要があります。

主な要件は以下のとおりです。

  • 日本国の薬剤師免許を有すること
  • 薬剤師として3年以上の実務経験があること
  • 日病薬会員(または指定団体会員)であること
  • 指定学会の会員であること
  • 日病薬病院薬学認定薬剤師(または日本医療薬学会専門薬剤師)であること
  • 感染制御活動に3年以上従事し、申請時点で継続して1年以上携わっていること
  • 感染制御に貢献した業務実績を20例以上提出できること
  • 指定講習会を20時間・10単位以上受講していること
  • 病院長または施設長の推薦を受けていること
  • 認定試験に合格していること

どれか一つを短期間で満たせば取得できる資格ではなく、感染制御活動に継続して取り組みながら、数年かけて要件を積み上げていく資格です。

そのため、まずは現在の自分がどの要件を満たしていて、何が不足しているのかを確認することが大切です。

前提となる日病薬病院薬学認定薬剤師

見落としやすいのが、感染制御認定薬剤師の前提資格として日病薬病院薬学認定薬剤師が求められる点です。

現在の新規申請要件では、日病薬病院薬学認定薬剤師、または日本医療薬学会専門薬剤師であることが必須となっています。

そのため、感染制御認定薬剤師を目指す場合は、まず前提資格を取得しているか確認することが大切です。

単位・症例・推薦で求められること

感染制御認定薬剤師の申請では、単位や症例実績も重要です。

講習会については、指定講習会を20時間・10単位以上受講し、そのうち日病薬主催の感染制御講習会を1回以上含める必要があります。

また、感染制御活動に貢献した業務内容を20例以上まとめるほか、病院長または施設長の推薦も必要です。

これらは短期間で準備できるものではないため、日々の活動を記録しながら計画的に進めなければなりません。

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認定試験と取得までの流れ

感染制御認定薬剤師を取得するには、申請要件を満たしたうえで認定試験に合格する必要があります。

取得までの大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 感染制御活動に従事しながら実務経験を積む
  2. 日病薬および指定学会へ入会する
  3. 日病薬病院薬学認定薬剤師を取得する
  4. 指定講習会を受講し、必要単位を取得する
  5. 感染制御に関する業務実績を20例以上まとめる
  6. 所属長の証明や施設長の推薦を受ける
  7. 認定申請を行う
  8. 認定試験に合格する

試験日程や申請期間は年度ごとに変更されるため、日本病院薬剤師会の最新情報を確認しながら準備を進めましょう。

感染制御認定薬剤師の更新要件

感染制御認定薬剤師の認定期間は5年間です。

認定を継続するためには、所定の更新要件を満たす必要があります。

更新では、日病薬会員資格および日病薬病院薬学認定薬剤師の資格を維持したうえで、5年間に30単位以上の講習単位を取得しなければなりません。

このうち、日病薬主催の感染制御に関する講習会で12単位以上を取得する必要があります。加えて、特段の理由がない限り、毎年最低3単位以上を取得することが求められます。単位計画を立てて進めましょう。

さらに、感染制御へ貢献した症例10例以上の提出と、学会発表1回以上または学術論文1編以上の実績も求められます。

新規申請と更新要件の違い

感染制御認定薬剤師は取得して終わりではなく、認定後も継続的な活動や研修を通じて専門性を維持していくことが求められます。

そのため、新規申請時と更新時では求められる要件が一部異なります。

新規申請では、実務経験や認定試験の合格が重視されます。

一方、更新では、継続的な研修受講、症例実績、学術活動の実績が求められます。

新規申請と更新要件の違いは、以下のとおりです。

項目新規申請更新
単位20時間・10単位以上30単位以上(うち日病薬講習会12単位以上、原則毎年3単位以上)
症例報告20例以上10例以上
学会発表・論文不要発表1回以上または論文1編以上
前提資格日病薬病院薬学認定薬剤師継続保有が必要
試験ありなし

更新では講習単位や学術活動の実績が求められるため、認定取得後も継続的な活動が必要です。。

研修認定薬剤師など他の認定との違いと位置づけ

感染制御認定薬剤師について調べていると、「研修認定薬剤師との違いは?」「どちらを先に取得すべき?」と疑問を持つ方もいるでしょう。

薬剤師向けの認定制度には、生涯学習を評価するものと、特定分野の専門性を評価するものがあります。

感染制御認定薬剤師は後者にあたり、感染対策や抗菌薬適正使用に関する知識・経験を認定する専門資格です。

感染制御認定薬剤師と研修認定薬剤師の違い

感染制御認定薬剤師と研修認定薬剤師は、どちらも薬剤師向けの認定制度ですが、認定の目的や位置づけが異なります。

感染制御認定薬剤師は、感染対策や抗菌薬適正使用に関する専門性を認定する資格です。

一方、研修認定薬剤師は、生涯学習を通じて薬剤師として必要な知識や技能を継続的に習得していることを認定する制度です。

感染制御認定薬剤師と研修認定薬剤師の違いは、以下のとおりです。

項目感染制御認定薬剤師研修認定薬剤師
目的感染領域の専門性を認定する生涯学習の実績を認定する
対象分野感染対策・抗菌薬適正使用薬剤師業務全般
認定試験ありなし
前提資格日病薬病院薬学認定薬剤師等特になし

感染制御認定薬剤師は感染領域の専門資格である一方、研修認定薬剤師は薬剤師として継続的に学習していることを示す資格です。

なお、現在の感染制御認定薬剤師の申請要件において、研修認定薬剤師は前提資格ではありません。

前提となるのは日病薬病院薬学認定薬剤師であり、過去の経過措置とは区別して考える必要があります。

取得を見据えた日々の学習と単位管理

感染制御認定薬剤師の取得や更新に必要な単位は、日病薬が指定する講習会などで取得するものであり、生涯研修認定制度の単位とは別に管理されています。

ただし、感染制御認定薬剤師を目指すには、数年単位で知識を継続的にアップデートしていくことが重要です。そのため、資格取得の前段階から学習習慣を身につけ、生涯学習の履歴や単位を管理しておくと、将来的な申請準備も進めやすくなるでしょう。

「ためとこ」は、薬学ゼミナール生涯学習センター(実施機関コード:G13)発行の認定単位が取得できる生涯学習支援サービスで、講座の受講から単位管理まで一つのサービス内で完結できるほか、他サービスで取得した研修認定薬剤師の単位もまとめて登録・管理できます。

講座はテキストラーニング(最短5分)、ショート動画(最短10分)、セミナー動画(約90分)から選択でき、1分の学習につき1ポイント、90ポイントで1単位として積み上げられます。

料金プランも用途に応じて用意されており、取得済み単位の管理のみであれば無料で利用できます。

将来的に感染制御認定薬剤師などの専門資格取得を目指す方にとっても、生涯学習を継続するための選択肢の一つとなるでしょう。

向いている人・取得するメリット

感染対策や抗菌薬適正使用に継続して関わる薬剤師にとって、感染制御認定薬剤師は専門性を客観的に示せる資格です。

一方で、誰もが取得すべき資格というわけではないため、自分の業務や目標に合うかを見極めることが大切です。

感染制御認定薬剤師が向いている人

感染制御認定薬剤師は、感染対策に継続的に関わる薬剤師に向いた資格です。次のいずれかに当てはまる方は、取得を検討する価値があります。

  • ICTやASTの活動に参加している方
  • 感染対策や抗菌薬の適正使用に日常的に関わっている方
  • 感染症治療に関する知識を深めたい方
  • 多職種連携のなかで感染対策に積極的に関わりたい方

感染対策に関わる機会が増えている方や、今後より深く携わりたいと考えている方にも適した資格です。

感染制御認定薬剤師を取得するメリット

取得する主なメリットは、次の3点です。

  • 感染領域における専門性を客観的に示せる
  • ICTやASTで、より専門的な役割を担う機会が増える
  • 感染制御専門薬剤師など上位資格を目指す足がかりになる

なかでも大きいのは、感染対策や抗菌薬適正使用の知識・経験を、院内外へ客観的に示しやすくなる点です。

専門性が資格という形で可視化されることで、チーム内で任される役割や業務の幅も広がるでしょう。

まとめ

感染制御認定薬剤師は、日本病院薬剤師会が認定する感染領域の専門資格です。

取得には実務経験や症例実績、講習会単位の取得、認定試験の合格などが求められます。

また、取得後も継続的な研修や活動実績による更新が必要です。

感染対策や抗菌薬適正使用に専門的に関わりたい薬剤師にとって、感染制御認定薬剤師は専門性を証明できる有力な資格の一つです。

まずは前提資格や実務経験の状況を確認し、自分の現在地に応じて計画的に準備を進めていきましょう。

た め と こ
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