コラム

居宅療養管理指導とは?|薬局薬剤師の役割・算定要件・2026年度改定との関係をわかりやすく解説

在宅業務のある薬局で、初めて居宅療養管理指導の担当患者を持つことになり、「結局どういう制度で、自分は何をすればいいのか」と戸惑っていないでしょうか。

介護保険ならではのルールや細かな算定要件を前にすると、どこから手をつければよいか迷うのも無理はありません。

しかし、制度の仕組みや、自分がやるべきことを把握することで慌てずに対応できるでしょう。

この記事では、居宅療養管理指導の定義や薬局薬剤師の役割、算定要件と単位数、算定できないケース、開始から算定までの流れを、現場の視点で整理します。

全体像を先につかんでおけば、初めて担当することになった場合でも自信を持って一歩を踏み出せるでしょう。 

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執筆者
佐藤 美柚
薬剤師ライター 佐藤 美柚
総合病院門前の薬局で勤務中(7年目)。研修認定薬剤師、NR・サプリメントアドバイザーの資格を取得。 在宅や学校薬剤師など幅広く活動しています!
2児のママ薬剤師をしながら、医療ライターとしてさまざまな記事を執筆しています。
編集
株式会社医学アカデミー

居宅療養管理指導とは

居宅療養管理指導とは、薬剤師などが通院の難しい患者の自宅を訪問し、療養上の管理や指導を行う介護保険のサービスです。

介護保険法にもとづく制度で、薬剤師は医師の指示のもと、自宅での薬の管理や服薬状況を支えていきます。

厚生労働省の資料では対象を通院が困難な在宅の利用者と定めており、寝たきりや認知症、独居で服薬管理が難しいといった事情で、医師が訪問の必要を認めた患者が中心です。

高齢化と在宅医療の広がりを背景に、薬局薬剤師が関わる場面は年々増えてきました。

介護保険にもとづくサービスのため、訪問の結果は介護報酬として請求する点も、医療保険との違いとして押さえておきたいところです。 

介護認定の有無で算定の名称が変わる

同じ訪問業務でも、患者の介護認定の有無によって、適用される保険と算定の名称が変わります。

介護認定を受けている場合は介護保険が優先される点も、押さえておきたいポイントです。

患者の状態適用保険算定名称
要介護介護保険居宅療養管理指導費
要支援介護保険介護予防居宅療養管理指導費
介護認定なし医療保険在宅患者訪問薬剤管理指導料

訪問の内容自体は大きく変わらないものの、請求先の保険が異なるため、保険の取り違えは返戻につながります。

介護認定の有無は、患者の介護保険被保険者証に記載された要介護度(要支援・要介護)で確認できるため、最初に押さえておくと安心です。

出典:介護保険法|e-Govポータル
出典:居宅療養管理指導|厚生労働省

薬局薬剤師の役割と具体的な業務

居宅療養管理指導における薬局薬剤師の役割は、患者が自宅で薬を正しく使えるよう支えることです。

外来とは違い、生活の場に入って状況を確認できるため、薬の管理状況や飲み残しの実態を直接つかめるのも在宅ならではの強みでしょう。

外来では見えにくい飲み忘れや自己判断での中止も、自宅では薬の置き場所や残薬から見えてくるものです。

具体的な業務には、次のようなものがあります。

  • 服薬指導:薬の効果や副作用、飲み方を、患者や家族の理解度に合わせて伝える
  • 残薬の確認・整理と一包化:飲み残しの原因をさぐり、飲み忘れを防ぐ工夫を一緒に考える
  • 副作用のモニタリング:体調の変化を早期に把握し、必要に応じて医師へ情報を提供する
  • 服薬状況に応じた処方提案:飲みにくさや残薬を踏まえ、剤形変更や減薬を医師へ提案する

これらに加えて、ケアマネジャーへの情報提供も算定要件の一部で、サービス担当者会議への参加はその情報提供の一環として位置づけられます。

生活の場での気づきを医師やケアマネジャーへ橋渡しできるのは、定期的に自宅を訪れる薬剤師ならではの強みでしょう。

薬の専門家として多職種と連携しながら、患者の在宅生活を支える役割を担います。

終末期の患者への関わり

在宅では、がんの末期など終末期の患者を担当する場面も少なくありません。

医療用麻薬が使われるケースでは、保管・使用の状況や副作用の確認など、より慎重な薬学的管理が求められます。

痛みの状態は日々変わるため、医師やケアマネジャーと密に情報を共有することが欠かせません。

患者と家族が自宅で安心して過ごせるよう支えることも、在宅に関わる薬剤師の大切な役割です。

医療用麻薬の持続注射や中心静脈栄養に関わるケースでは、別途加算が設けられているため、要件を事前に確認しておきましょう。

居宅療養管理指導の算定要件と単位数

居宅療養管理指導の算定には、いくつかの基本要件があります。

柱となるのは、医師の指示があること、薬学的管理指導計画を策定していること、ケアマネジャーへ必要な情報を提供していることの3点です。

なかでも薬学的管理指導計画は、患者ごとに訪問の目的や頻度、確認すべき点をまとめた計画を指し、訪問を始める前に用意しておきます。

要件が一つでも欠けると算定できないため、訪問の前後で確認しておくと安心でしょう。 

単一建物居住者数による単位数

算定する単位数は、同じ建物に住む対象者(単一建物居住者)の人数によって変わります。

令和6年度の介護報酬改定後の単位数は、薬局の薬剤師が行う場合で次のとおりです。

単一建物居住者の人数単位数(1回あたり)
1人518単位
2〜9人379単位
10人以上342単位
情報通信機器を用いる場合46単位

人数が増えるほど1人あたりの単位数は下がる仕組みです。介護報酬は「単位」で表されますが、居宅療養管理指導費は地域区分の上乗せ対象ではなく、1単位=10円で計算されます。

情報通信機器を用いる場合は、対面とは別の算定要件が定められているため、実施前に確認しておきましょう。現行の単位数は、厚生労働省の資料で確認できます。 

出典:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省

算定回数と算定間隔

居宅療養管理指導(介護保険)で薬局の薬剤師が算定できる回数は、原則として月4回が上限です。

月2回以上算定する場合は、算定日の間隔を6日以上空けるルールになっています。

なお、病院・診療所の薬剤師が行う場合は月2回までと上限が異なるため、混同しないよう注意しましょう。 

末期の悪性腫瘍の患者や、中心静脈栄養・注射による麻薬の投与を受けている患者は例外で、週2回かつ月8回までの算定が可能です。

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薬局で居宅療養管理指導を算定できないケース

「算定できると思っていたら、実はできなかった」というミスは、要件の確認が抜けたときに起こりがちです。

あとから算定が取り消されると、患者や薬局にも影響が出ます。

代表的な算定できないケースと、その理由をあらかじめ押さえておきましょう。 

  • 通院できる患者:対象は通院が困難な在宅患者に限られるため
  • 他の薬局がすでに算定している患者:同一患者への居宅療養管理指導は1か所しか算定できないため
  • 算定日の間隔が6日未満(月2回以上算定する場合):介護保険では同一月に複数回算定する際、間隔を6日以上空けるルールがあるため
  • 医師の指示がない:医師の指示が算定の前提になっているため
  • ケアマネジャーへの情報提供をしていない:情報提供が算定要件に含まれるため
  • 介護保険施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設など)の入所者:施設サービスのなかで薬学的管理が行われる前提のため

なお、算定間隔のルールは保険によって異なります。

2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料について、従来の「6日以上の間隔」要件が見直され、「週1回」の算定へ変更されます。

一方、介護保険の居宅療養管理指導は引き続き「月2回以上算定する場合は6日以上の間隔」というルールが適用され、両者は制度・算定ルールが異なるため注意が必要です。

混同しないよう、担当患者がどちらの保険かを最初に確認しておくと安心です。思い込みで算定せず要件を一つずつ確認しておくと、後からの返戻も防ぎやすくなります。 

居宅療養管理指導の開始から算定までの流れ

実際の流れは、医師の指示から介護報酬の請求まで、大きく5つのステップに分かれます。順番に押さえておけば、初めての担当でも迷わず進められるでしょう。

ステップ実務上のポイント
① 医師から指示を受ける指示の範囲や有効期間を事前に確認し、書面やシステムで記録に残す
② 薬学的管理指導計画を策定する患者の状態や処方内容に合わせて作成し、状況が変われば適宜見直す
③ 患者宅を訪問し、薬学的管理指導を行う服薬状況・残薬・副作用に加え、生活環境や本人の理解度も確認する(月1〜2回が目安)
④ 医師・ケアマネジャーへ文書で報告する訪問で得た情報を共有し、次のケアにつなげる
⑤ 介護報酬を請求する算定回数や間隔の要件を満たしているかを確認してから請求する

とくに計画書や報告書は、算定要件を満たした証拠として残るため、様式や記載内容は職場のルールに合わせて整えておくと安心です。

各ステップで作成する指示・計画・報告の記録が、そのまま算定の根拠になります。

一つずつ確実に進めれば、初めての担当でも着実に形にできるでしょう。 

まとめ

居宅療養管理指導は、通院が難しい患者の自宅を訪ね、薬の管理を支える介護保険のサービスです。

薬局薬剤師は医師の指示のもとで服薬支援や副作用の確認を行い、ケアマネジャーとも連携しながら在宅生活を支えていきます。

算定には、医師の指示・薬学的管理指導計画・情報提供といった要件があり、単位数は単一建物居住者の人数によって決まる仕組みです。

算定回数や間隔は保険によって異なるため、介護保険と医療保険を取り違えないよう注意しましょう。

わからないことは先輩や同僚に確認しながら進めれば、経験とともに自然と身についていきます。

全体像と流れをつかんでおけば、初めての担当でも、一つずつ落ち着いて進めていけるはずです。 

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