コラム

喘息発作時の対応と治療 ― 薬剤師が押さえておくべきポイント

喘息発作は急激に症状が悪化する可能性があり、迅速かつ適切な対応が必要です。薬剤師は発作時に使用する薬剤の特性や医療機関を受診すべき判断基準を把握し、患者へ的確に指導することが求められます。

この記事では、発作の重症度判断から薬物療法、フォローアップまで、薬剤師が押さえておくべきポイントを解説します。

喘息発作の特徴と危険徴候

喘息発作は気道狭窄により急性の呼吸困難をきたす状態であり、重症度に応じた対応が必要です。典型的な症状として、咳嗽、喘鳴、呼吸困難、胸部圧迫感があります。

発作の重症度は軽度から重症まで分類され、呼吸数、SpO₂、会話の可否などが判断基準です。

軽度発作では苦しいながらも横になれる状態ですが、中等度では歩行困難、重症では会話も困難となります。SpO₂が90%未満、意識障害、チアノーゼがみられる場合は生命危険の状態であり、直ちに救急対応が必要です。

薬剤師は発作時の重症度判断基準を把握し、患者や家族に救急搬送の目安を事前に伝えておくことが大切です。

発作時の初期対応

発作が起きた際は、まず患者を落ち着かせ、適切な体位をとらせることが重要です。座位または前傾姿勢は呼吸筋の働きを助け、呼吸困難を軽減させる効果があります。衣服の締め付けを緩め、換気の良い環境を確保することも有効でしょう。

非薬物的対応と並行して、自己管理計画(アクションプラン)に基づくSABA吸入を速やかに開始します。患者が普段から発作時の対応手順を理解していることが、重症化予防の鍵となります。

薬剤師は平時から患者に対して、発作時に使用する薬剤の保管場所、吸入方法、使用回数の目安を具体的に指導しておく必要があるでしょう。

薬物療法の選択と使用

発作時の薬物療法は、重症度に応じて段階的に選択されます。軽度発作ではSABA吸入のみで対応可能な場合が多いですが、中等度以上では全身性ステロイド薬の併用が検討されるでしょう。

ここでは発作時に用いられる主な薬剤について解説します。

短時間作用性β2刺激薬(SABA)

SABAは喘息発作時の第一選択薬であり、気道平滑筋を速やかに弛緩させて気道を拡張します。サルブタモールやプロカテロールなどが代表的な薬剤です。

効果発現は数分以内と速く、発作の初期段階での使用が症状悪化の予防につながるでしょう。通常用法は1〜2吸入を行い、効果不十分であれば20分間隔で2回まで追加吸入が可能で、以後1時間に1回目安で吸入します。

くり返しの吸入でも改善がみられない場合や、吸入後1時間程度で効果が減弱する場合は、医療機関への受診が必要になります。

過量投与は動悸や振戦などの副作用リスクを高めるため、薬剤師は適切な使用回数と過使用の防止について指導することが求められます。

副腎皮質ステロイド薬(経口・注射)

中等度以上の発作では、全身性ステロイド薬の早期投与が推奨されます。経口プレドニゾロンや注射用ヒドロコルチゾンなどが用いられ、気道炎症を速やかに抑制する作用があります。

効果発現には数時間を要しますが、発作の遷延化や重症化を防ぐために重要です。投与期間は通常3〜7日間程度であり、短期間使用であれば重篤な副作用リスクは低いとされています。ただし、血糖上昇や消化器症状には注意が必要でしょう。

薬剤師は処方された期間の服薬遵守を促すとともに、自己判断での中止や延長を避けるよう指導することが大切です。

その他の補助療法

重症の発作や医療機関での治療では、酸素療法や吸入抗コリン薬の併用が検討されます。酸素療法はSpO₂ 94〜98%を目標に行われ、低酸素血症の改善に有効です。吸入抗コリン薬はSABAとの併用で相加的な気管支拡張効果が期待できるでしょう。

また、重症例ではアミノフィリン点滴やアドレナリン皮下注射が用いられることもあります。薬剤師はこれらの補助療法の作用機序と適応を理解し、退院時の服薬指導に活かすことが可能です。

医療機関受診の判断基準

発作時に医療機関を受診すべきタイミングを患者が理解していることは、重症化予防に直結します。SABA吸入を繰り返しても改善しない場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。

また、会話が困難、歩行不能、SpO₂ 90%未満などの症状がみられる場合は、救急搬送を検討すべき状態です。意識障害、チアノーゼ、呼吸停止の危険がある場合は、ためらわず救急車を呼ぶことが求められるでしょう。

薬剤師は患者や家族に対して、これらの判断基準を具体的に説明し、緊急時の行動計画を事前に確認しておくことが重要です。書面でのアクションプラン提供も有効な手段となります。

発作後のフォローアップ

発作が治まった後のフォローアップは、再発防止と長期管理の改善において重要な機会です。

まず発作の原因や誘因を確認します。気道感染、アレルゲン曝露、NSAIDsや鎮咳薬などの薬剤、ストレス、気象変化などが代表的な誘因として挙げられます。誘因が特定できれば、回避策の指導につなげることが可能です。

治療計画の見直しも必要になります。発作を繰り返す場合は、ICSの増量やLABA追加など長期管理薬の調整が検討されるでしょう。

薬剤師は吸入手技の再確認、アドヒアランスの評価、生活習慣の見直しを通じて、再発防止に貢献することができます。

薬剤師の役割

薬剤師は喘息発作の予防から発作時対応、発作後のフォローまで多角的に関わることができます。

発作予防においては、長期管理薬の継続使用の重要性を繰り返し説明し、アドヒアランス向上を支援します。発作時対応の教育では、アクションプランの内容確認、SABA吸入のタイミングと回数、受診の目安を具体的に指導することが求められるでしょう。

吸入手技の定期的な確認も欠かせません。処方内容やSABAの使用頻度から喘息コントロール状態を評価し、必要に応じて医師へフィードバックすることも薬剤師の重要な役割です。

トレーシングレポートを活用し、医師や看護師と連携することで、重症化予防や再発防止に貢献できます。

まとめ

喘息発作は迅速かつ適切な対応が転帰を左右するため、患者自身が初期対応を理解していることが重要です。薬剤師は発作時の薬物療法に関する知識を活かし、患者への自己管理指導を通じて発作対応を支援できます。

発作後のフォローアップと治療計画の見直しを通じて、再発防止と良好な喘息コントロールの維持に貢献していきましょう。

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