糖質と糖類の違い|ゼロ表示食品の正しい知識
2025.09.16

「糖質ゼロ」と「糖類ゼロ」は一見同じように思えますが、実は意味が異なります。栄養学的に糖質と糖類は範囲が違い、血糖値やカロリーへの影響も変わってきます。そのため「ゼロ」と表示されていても、摂りすぎには注意が必要です。
この記事では、糖質と糖類の定義や食品表示法のルールなどを解説します。
目次
糖質と糖類は同じ意味で使われることもありますが、実際には範囲が異なります。
糖質と糖類の定義
- 炭水化物=糖質+食物繊維
- 糖質=糖類(単糖類・二糖類)+その他の糖質(多糖類、糖アルコールなど)
- 糖類=単糖類(ブドウ糖、果糖)、二糖類(砂糖、乳糖など)

つまり、糖類は糖質の一部であり、「糖類ゼロ」と書かれていても糖質が含まれることがあります。逆に「糖質ゼロ」は、糖類に加えデンプンや糖アルコールも含めて基準未満であることを意味します。
普段の食事や食品選びの中で混同されやすいため、この定義を理解することが大切です。
食品表示法における「ゼロ表示」のルール
スーパーやコンビニでよく見かける「糖質ゼロ」「糖類ゼロ」の表示は、法律で基準が定められています。ここで注意したいのは、「ゼロ=まったく含まれていない」という意味ではないという点です。
- 糖質ゼロ:100gまたは100mlあたり0.5g未満の糖質であれば表示可能
- 糖類ゼロ:100gまたは100mlあたり0.5g未満の糖類(砂糖・果糖など)であれば表示可能。ただし、糖アルコールやデンプン由来の糖質は含まれる場合がある
そのため、糖類ゼロと表示されていても、糖アルコールやその他の糖質によって血糖値に影響を与える可能性はあります。
また、似た表現として「カロリーゼロ」「低カロリー」「カロリーオフ」などがありますが、これらも同じく基準値未満であれば表示できる仕組みです。
たとえば「カロリーゼロ」は100mlあたり5kcal未満、「低カロリー」は100gあたり40kcal以下(飲料は20kcal以下)となりますが、「カロリーオフ」は相対表示となり、他の同種の商品に比べて100mlあたり20kcal以上低減され、かつ低減された割合が25%以上であれば表示可能とされています。
清涼飲料水やお菓子のパッケージに多く見られますが、正しく理解していないと「完全にゼロだから安心」と誤解してしまうケースも少なくありません。
糖質ゼロと糖類ゼロ、どちらがヘルシー?
一見すると似た表現ですが、「糖質ゼロ」と「糖類ゼロ」では意味が大きく異なります。健康管理や食事療法の観点からは、この違いを理解することがとても重要です。
「糖質ゼロ」は、糖類だけでなくデンプンや糖アルコールといった「その他の糖質」も含めて制限されているため、血糖値への影響を抑えやすい特徴があります。糖質制限中の方や糖尿病の患者さんには、こちらの方が実用的といえるでしょう。
一方、「糖類ゼロ」は砂糖やブドウ糖などの糖類だけを対象としているため、糖アルコールや人工甘味料は含まれているケースが多いです。砂糖を避けたい人には有効ですが、必ずしも血糖値やカロリーが抑えられるわけではありません。
つまり、体重管理や血糖コントロールを目的とするなら「糖質ゼロ」の方が適していますが、「糖類ゼロ」も目的によっては有効です。大切なのは、パッケージの表示を見て「何が含まれているのか」を確認する習慣を持つことです。
薬剤師としてできるアドバイス
糖質ゼロや糖類ゼロの表示は、一般の方には分かりにくいものです。「ゼロ表示=完全に含まれていない」と誤解しないよう、正しい知識を身に着けることが大切です。
糖尿病患者へのアドバイス
「糖類ゼロ」と書かれていても、他の糖質が入っていることがあります。その場合、血糖値が上がることもあるため注意が必要です。食品を選ぶときは「ゼロだから安心」と思わず、成分表示を見て「総糖質量」を確認する習慣を持つことをおすすめします。
減量中の方へのアドバイス
糖類ゼロと書かれていても、必ずしも低カロリーではありません。脂質や人工甘味料が多く含まれている場合、食べすぎると結局カロリーオーバーになってしまいます。「ゼロ表示でも量を意識すること」で、日常に取り入れやすくなります。
「ゼロ表示=安心」ではない
食品表示のルールでは、基準値未満なら「ゼロ」と表記することができます。つまり、実際には少し含まれていることもあるのです。たとえば「糖質ゼロ飲料」を毎日たくさん飲めば、合計でそれなりの糖質やカロリーを摂ることになります。
まとめ
糖質ゼロと糖類ゼロは似ているようで意味が違い、ゼロと書かれていても全く含まれていないということではありません。糖尿病やダイエット中の方にとっては、成分表示を確認し「どのくらい糖質が入っているか」を意識することが大切です。
ゼロ表示に安心せず、適量を守ってうまく活用していきましょう。
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