コラム

立ち仕事が多い薬剤師|むくみとの向き合い方

薬剤師として働く毎日は、思っている以上に足腰に負担がかかるもの。特に長時間の立ち仕事が続くと、「足がだるい」「むくんで靴がきつい」などの症状に悩まされがちです。
今回は、そんな悩みを抱える薬剤師さんのために、むくみ(浮腫)の原因とその解消・予防法について、わかりやすく解説します。

むくみの仕組み

むくみとは、体内の水分バランスが崩れ、一部に水分が過剰にたまる状態のことを指します。特に足のむくみは、血液やリンパの流れが滞ることで、血管やリンパ管から水分(血漿やリンパ液)がにじみ出て、細胞間に組織間液として溜まってしまうことが原因です。
この状態が続くと、見た目の腫れや重だるさだけでなく、痛みや疲労感につながることもあります。

立ち仕事はなぜむくむの?

立ち仕事が続くと足のだるさやむくみに悩まされる方も多いのではないでしょうか。ここでは、薬剤師に多い立ち仕事によるむくみの主な原因を解説します。

原因①長時間の立ち仕事で筋肉機能が低下

薬剤師の仕事は、調剤や接客などで基本的に立ちっぱなしということも多いですよね。長時間同じ姿勢でいると、ふくらはぎなどの筋肉のポンプ機能が低下し、血液やリンパ液が重力に逆らって心臓に戻る力が弱まります。
その結果、老廃物や余分な水分が下半身に滞留しやすくなり、むくみやすくなります。これが「足がパンパンになる」「だるくて重い」と感じる一因です。

原因②冷え・水分不足・食生活の乱れに注意

体の冷えや水分不足、食生活の乱れもむくみの原因となります。
夏場の冷房や冬場の寒さは体を冷やし、血行が悪くなってむくみを引き起こしやすくします。また、水分をあまり摂らないと体が水分を溜めこもうとするため、逆にむくみやすくなります。
食事面では、ナトリウム(塩分)の過剰摂取もむくみの原因に。ナトリウムは体に水分を溜めこむ性質があり、過剰になると体内の水分バランスが崩れてしまいます。カリウムを意識的に摂ることでナトリウムの排出を促し、むくみの予防に役立ちます。

スキマ時間でできるむくみ緩和法

仕事の合間や帰宅後に取り入れやすい簡単なケアを紹介します。

①ながらでできる足の運動

立ち仕事の合間や休憩時間に、以下のような軽い運動を取り入れることで、足の血行を促進し、むくみの予防につながります。

  • かかとの上げ下げ運動
    立ったまま、かかとをゆっくり上げてつま先立ちになり、再び下ろす動作を繰り返します。ふくらはぎの筋肉を刺激し、血流を促す効果があります。調剤中や服薬指導の合間などにも行いやすい動きです。
  • 軽い屈伸運動
    膝を軽く曲げて屈伸することで、太ももやふくらはぎの筋肉を刺激し、リンパの流れを助けます。狭いスペースでもできるため、休憩中や空き時間におすすめです。
  • 足首をくるくる回す
    座っている時や片足を少し浮かせた状態で足首をゆっくり回します。関節の動きを良くして血流を促進し、むくみの軽減に効果的です。デスクワーク時にも最適です。
  • 片足を台に乗せて姿勢を変える
    片足を少し高い位置(踏み台や段差)に乗せることで、血液が一方向に溜まり続けるのを防ぎます。立ちっぱなしの状態を変えることで、下半身の負担を軽減できます。

②足のツボを押す

足裏には血行促進や疲労回復に効果的なツボが多く存在します。特に以下のツボは、立ち仕事後の足のむくみにおすすめです。

  • 湧泉(ゆうせん):足の裏の中央より少し上。疲労回復や全身の血流促進に。
  • 足心(そくしん):土踏まずの中央付近。足のむくみや冷えの解消に効果的です。

親指で心地よいと感じる強さで5秒ほど押すのを、数回繰り返してみましょう。

日常生活で取り入れたい対策

むくみ対策には、日常生活に取り入れやすい工夫が効果的です。ストレッチやマッサージ、着圧ソックス、食事改善など、外と内の両面からアプローチする方法をご紹介します。

外からのケア ― 身体を整えるための外的アプローチ

むくみを防ぐには、身体の外側からのケアも大切です。

  • 着圧ソックスの活用
    足首からふくらはぎにかけて段階的に圧力をかけることで、リンパや血液の流れを促進します。就業中や就寝時に取り入れると効果的です。
  • 締め付けの強い服は避ける
    血行やリンパの流れを妨げる服はむくみを悪化させる原因に。できるだけゆとりのある服装を選びましょう。
  • 適度な運動やストレッチ
    通勤時に歩いたり、寝る前に軽くストレッチするだけでも、足の筋肉機能が高まり、むくみにくくなります。
  • お風呂に浸かる
    シャワーだけで済ませず、湯船にゆっくり浸かることで全身の血流が良くなり、疲労やむくみの解消に効果的です。

内からのケア ― 食事と水分でめぐりをサポート

体の内側から巡りを整えることも忘れずに。

  • 水分をこまめにとる
    むくみを防ぐには、1日を通してこまめな水分補給がポイント。
    忙しさに加え、調剤室が原則飲食禁止なこともあり、気づけば水分を摂るタイミングを逃している…そんな方も多いかもしれません。それでもむくみを防ぐには、1日1.5〜2リットルの水やお茶を意識して摂取する習慣が大切です。
  • 食べ物でケア
    カリウムが豊富な食材(バナナ、ほうれん草、アボカドなど)を積極的に取り入れましょう。反対に、加工食品や外食に含まれる塩分は控えめに。

まとめ

立ち仕事が多い薬剤師にとって、足のだるさやむくみは切実な悩み。ですが、むくみの仕組みや原因を知ることで、適切な対策をとることができます。

  • 血行やリンパの流れを促進する運動やツボ押しを取り入れる
  • 体を冷やさない工夫をし、湯船に浸かってリラックス
  • 着圧ソックスなどのむくみ解消グッズの活用
  • 水分と食事のバランスを整える

これらのケアを日常に取り入れることで、つらいむくみも徐々に和らいでいくはずです。グッズをうまく活用しながら、疲れをためない生活習慣を身に付けましょう。

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